後戻りできない「徴用工」 「日本が先に謝罪、そして金銭賠償」を要求する韓国政府

国際 韓国・北朝鮮

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三菱重工業の資産に対する強制売却命令が可能となった

 11月10日、菅義偉首相は韓国の情報機関・国家情報院の朴智元(パク・チウォン)院長と会談し、朝鮮人元徴用工賠償問題について意見を交換した。

 会談後、朴智元院長は記者団に「菅首相に文在寅大統領の日韓関係正常化への意志を伝えた」とし、「日韓両国のトップが解決すべき必要性を感じている。対話の継続がよい結果をもたらすだろう」と語った。

 菅首相もこの日、「非常に厳しい状況にある日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを作るように改めて求めた」と語っている。

 しかしその場で、徴用工賠償問題に対する明確な結論など出るはずはなく、韓国では徴用工賠償に関する最高裁の判決により、三菱重工業の韓国内商標権や特許権などの資産に対する裁判所の売却命令に関する審問書の公示送達の効力が発生した。

 これにより、三菱重工業の資産に対する強制売却命令が可能となり、競売、配当などの手続きを本格的に進めることができるようになった。

 徴用工賠償問題は後戻りできない状況になりつつある。

 朴智元院長はこの度の訪日中に菅首相をはじめ、日本側の関係者に徴用工賠償問題の解決策について「謝罪」を大枠とした提案を行ったという。

 これは1998年当時、小渕恵三首相と金大中(キム・デジュン)大統領の間で発表された「小渕・金宣言(日韓共同宣言 21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ)」をなぞるように、まずは賠償に先立ち、日本が韓国に対する過去の植民地支配の過ちを謝罪し、発展的関係構築を提案するという内容であった。

「日本が徴用工賠償を無視しているのは、過去の歴史を反省していないからだ」

 1998年当時、朴院長は青瓦台(大統領府)の広報担当秘書官として、そして二階俊博幹事長は小渕内閣の運輸大臣として「小渕・金宣言」直後の関係改善の中心人物として尽力した。

 訪日初日の8日に2人は再会し、朴院長がまず二階幹事長に「小渕・金宣言」について言及し、「文・菅宣言」を提案したという。

 表面的には22年前の関係改善を受け継ぐものであったが、その実は「過去史に対する反省と和解」という文言が優先されていた。

 1993年の河野談話、1995年の村山談話、そして1998年の「小渕-金宣言」と行ってきた謝罪をいつまで繰り返させるのか。

 朴院長の提案に盛り込まれた「謝罪」の発端は徴用工賠償問題であり、韓国の立場は最高裁の判決により、徴用工個人に対する賠償は、当時雇用した三菱重工業などの日本企業が履行しなければならない。

 韓国側は、「日本政府と企業が最高裁判所の判決を認めず、徴用工賠償を無視しているのは、過去の歴史に対して反省していないからだ」と主張している。

 日本政府は、戦前の徴用工や朝鮮人元従軍慰安婦などへの賠償は1965年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決されたものとし、それには単に韓国政府だけでなく、個人の賠償請求権も含まれると反論している。

 徴用工への個人的な賠償は、請求条件を根拠に日本から賠償金を受け取った韓国政府に要求するのが筋という主張だ。

 日本政府は大法院(最高裁判所に該当)の決定が国家間の約束を反故にするものであり、国際法に違反する可能性があると抗議している。

 たしかに、日韓に直近の問題が横たわっている状況で、「謝罪要求」受け入れる愚かな政府はないだろう。

 謝罪すれば大法院判決を認めたことになり、賠償しなければまた謝罪しろと要求する愚行が繰り返されるのは目に見えている。

 果たして、韓国国民は果たして心からの謝罪を望むのか、あるいは金銭などの賠償が必要なのか。

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