苦境のANAでCAが民間企業に出向の“奇策” 航空系専門学校にも暗雲
新型コロナウイルスで、最も大きな影響を受けたのは航空業界だろう。
10月27日、ANAホールディングスが、2021年3月期に5100億円規模の純損失を計上する見通しとなったことを公表した。
経済誌記者によれば、
「ANAは、すでに社員の給与3割カットを表明。保有する旅客機の1割を削減する方針も示しました。ただ、国際線需要の回復には、まだ時間がかかる。雇用維持のためには、さらなる“知恵”が必要だったのです」
そこで、同社が打ち出したのが、400人規模の人員を、スーパーの「成城石井」や家電量販店の「ノジマ」など民間企業に出向させるという“奇策”だった。
ANAの広報にその真意を尋ねてみると、
「これまで、CAや空港スタッフを一時帰休させ、雇用調整助成金を頂いてきました。ただ、いつまでも税金に頼るわけにはいきませんから、彼らの接客技術を生かし、雇用維持を可能にするスキームを考える必要があったんです」
しかし、苦肉の策を強いられているのは航空会社だけではなかった。
「航空会社は軒並み、21年の採用を中止する予定。これにより、全国に50校ほどあるといわれている、CAやグランドスタッフ、整備士などを養成する専門学校の学生が苦境に立たされているんです」(先の記者)
実際、さる専門学校の担当者は、
「保護者の方からも心配の声を頂いておりますし、学生のメンタルケアも必要です。現状、新卒での航空業界への就職は難しいですから、整備士コースの学生は他の製造業に、CAやグランドスタッフのコースはJRなど他の客室乗務員職へと目標を変えています」
もちろん、専門学校の経営にも暗雲が。
「学生の募集にも影響は出るでしょう。外国語系の専門学校にCAコースが併設されているところはまだましでしょうが、航空専門の学校はかなり厳しい。すでに少子化で定員割れになっている学校もありますから、泣き面に蜂ですよ」(同)
乱気流はまだ続く。