次は3000本安打を狙う坂本勇人、私が考えるコンバート案【柴田勲のセブンアイズ】
巨人・坂本勇人内野手(31)が8日のヤクルト戦(東京ドーム)で2000本安打を達成した。1回、アルバート・スアレスから左翼線二塁打を放った。まずはこの場を借りて、「おめでとう」と祝福したい。
私、坂本に会うたびに、「2000本は通過点だぞ。3000本を打てよ」と声を掛けてきたが、2001安打目はバックスクリーンへの本塁打だったし、さらに安打も追加して猛打賞で花を添えた。3000本安打へ順調なスタートを切ったと感じた。
31歳10カ月での達成は榎本喜八さんの31歳7カ月に次いで2番目のスピード達成だったし、コロナ禍で開幕が遅れたことを考えれば史上最年少があったかもしれない。巨人の生え抜きの選手で2000本安打以上をマークしたのは川上(哲治)さん、長嶋(茂雄)さん、王(貞治)さん、私、阿部(慎之助)、そして坂本の6人だ。後楽園を含めて巨人の本拠地で達成したのは坂本が初めてだ。
こういうのを見ても持っていると感じる。
それにしても第1打席目で出てよかった。あと1本となると意外とてこずるものだ。
私、2000本安打を達成したのは1980年(昭和55)の8月7日、神宮でのヤクルト戦だった。投手は酒井圭一だった。あと1本としながら5試合18打席を要した。この年は優勝戦線から離れていたものの、長嶋監督は当時36歳の私をスタメンで使った。周囲も気を遣ってくれた。バントのケースでもサインは出ずにヒッティングだった。
記念の安打は左翼・若松(勉)の前にポトリと落ちた。プロで最初の安打が内野安打で、節目の安打がポテンヒット、「柴田らしい」と言われた記憶がある。
でも、次の試合から2カ月半、スタメンがなかった。長嶋さんは松本(匡史)を使いたかった。実際、私の代わりに「1番・中堅」で出場するようになった。
つい思い出話になってしまった。さて坂本の打撃だが、選球眼のよさや巧みなハンドワークが挙がる。私はなんといっても、「対応力」の高さが抜群だと思う。弱点がない。普通、例えば速い球に弱い、変化球にもろいなんてことがあるけど、どんな球にもしっかりと対応できる。だから泳いでも左へ飛ばせる。詰まっても右へ持っていける。「対応力」となると人によってはイチロー、張本(勲)さんらの名前が挙がるけど、私は坂本がナンバーワンだと思う。
巨人に限れば中距離ヒッターの長嶋さんに近いのではないか。似ている。長嶋さんはどんな球にもうまく対応したし、代名詞である「動物的」な勘を備えているような気がする。
話題となっている「3000本」も狙えると思う。ご存じの通り、張本さんの3085本が日本記録だ。
現在31歳。143試合制で、今後レギュラーで出場するとして、まあ年間150本は大変だが、120~130本以上を確実に積み上げていけば40歳までには到達するのではないか。
そのためにも体調管理にはこれまで以上、気を遣うことだ。今季は新型ウイルス陽性反応から始まった。幸い、いままで大きなケガをしていない。それでも7月には左わき腹を痛めて1試合欠場したし、これは古傷のようだ。10月は右足に張りを訴えて欠場や途中交代を繰り返したこともあった。慢性的な腰痛もある。
要するに満身創痍で出場していた。原辰徳監督も坂本のコンディションには気を配っていたようだ。
将来、遊撃からのコンバート案も浮上するだろう。遊撃は非常に負担の重いポジションだ。センターラインで守備機会が多い。深い位置からの送球も必要だ。坂本は今年の12月で32歳になる。3、4年先くらいか。私は一塁にコンバートされると見ている。サードの岡本は素晴らしい守備力を発揮しており、原辰徳監督も巨人の伝統である「4番・サード」を育てる方針だ。外野は慢性的な腰痛にはいいだろうが、足に負担をかけることになる。
いろいろ考えて、いまの私の結論ではあるが、記したようにまだ先の話である。しばらくは「遊撃・坂本」で活躍を続けてもらいたい。
パ・リーグはロッテが4年ぶりのクライマックス・シリーズの出場を決めた。リーグ覇者のソフトバンクとの対戦になる。私はソフトバンクが勝って日本シリーズに出てくると見ているが、どうなるか。
いずれにせよ最近の日本シリーズを見ると勢いのあるチームに分がある。CSを制したチームがそのまま入ってくるとやはり違う。
「6対4」でパが有利か。日本シリーズまであと10日あまり、巨人はキッチリと調整して臨んでほしい。