美智子さまが憂慮する「いのちの電話」の苦境 コロナ禍の相談増で人手が足りず

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美智子さまも憂慮

 欧州で新型コロナの“第2波”が猛威を振るうなか、日本の死亡者数は低水準を維持している。一方で、新たなリスクとなっているのは自殺者の急増だ。上皇后さまも憂慮される「いのちの電話」の窮状とは――。

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 10月20日に86歳のお誕生日を迎えられた上皇后さまのご近況について、宮内庁はこう触れている。

〈乳がんご手術後のホルモン療法によると思われる左手指のご不自由〉がおありで、これまで楽しみにされていたピアノ演奏にも支障が出ている、と。それでも上皇后さまは、いままでできていたことを“授かっていた”とお考えになるのか、おできにならなくなったことを“お返しした”と表現され、現状を受け入れていらっしゃるという。

 SNS上には〈素晴らしい表現に心を打たれました〉、〈ずっと胸に留めておきたいお言葉。そういう考え方で生きていきたい〉といった書き込みが後を絶たない。上皇陛下と共に“国民に寄り添う皇室”を体現されてきた上皇后さまのお言葉は、ここでも国民の心を掴んで止まないのだ。

 一方で、上皇后さまはこのところ、ある懸念を抱かれているようだ。宮内庁担当の記者によれば、

「美智子さまのお誕生日に際して行われた侍従の会見でのこと。新聞に掲載された〈いのちの電話 運営ピンチ〉〈相談員不足が深刻化〉という記事に、上皇・上皇后両陛下が熱心に目を通され、とても心配されているご様子だったと伝えられました。とりわけ美智子さまはいのちの電話の苦境を深く憂慮されています」

「家賃が払えない」「夫の暴力が激しくなった」

 相次ぐ有名人の自死に関する報道で、自殺を思い悩む人の相談を受ける「いのちの電話」の連絡先を目にした向きは少なくなかろう。

 いのちの電話はドイツ人宣教師、ルツ・ヘットカンプ女史の提唱で1971年に開設された。上皇后さまは「ヘットカンプさんの来日時にたびたび面会された」(同)そうで、2011年の「設立40周年式典」にもご臨席なさっている。式典で講演を行ったヘットカンプ女史は、82年に当時皇太子妃だった上皇后さまに活動を報告した際、「この素晴らしい取り組みが日本で長く続くでしょうか」と心配そうに仰っていたと明かしている。

 確かに、ボランティアによって支えられる活動が、ここまで長く続いたことは奇跡と呼べるかもしれない。

 だが、設立50周年を来年に控えたいま、いのちの電話はかつてないほど重大な危機に直面していた。

「コロナ禍で相談件数が増えていることは間違いありません。4月中旬には新型コロナに関連する相談が半数以上を占めました。5~6月になると“家賃が払えない”“夫の暴力が激しくなった”など、相談内容も深刻度を増してきた。相談員が対応できるケースの10倍以上は電話がかかってきているように感じています」

 苦しい現状を打ち明けるのは「東京いのちの電話」の担当者である。

 いのちの電話には全国50カ所のセンターがあり、ほとんどの都道府県に設けられている。行政からの助成金もあるが、運営費用の大半は寄付によって賄われる。

 相談員はボランティアで、自ら数万円の参加費を支払って1~2年程度の研修を受けた後、活動に参加する。

 しかし、20年前に8千人近かった相談員は、現在6千人程度と2割以上も減少。慢性的な人手不足に加え、コロナ禍も暗い影を落とす。

「幼いお子さんや高齢者と同居する相談員も多く、“どうして感染が心配なこの時期にボランティア活動をするの?”と家族を不安にさせることもあるわけです。会社勤めをしながら活動する相談員のなかには、勤務先に外出を控えるよう通告されて活動を自粛した方もいる。皆、生活上の制約と使命感の板挟みに苦しみながら活動を続けています。現在は、在籍する約250人の相談員のうち7割ほどで活動を続けている状態。この人数で年間2万2千件にのぼる相談に対応するのは非常に困難です」(同)

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