【米大統領選】日本なら一晩で終わる開票作業 なぜそんなに時間がかかったのか

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26分で終わった開票も

 なぜ選管が開票作業の迅速化に力を入れるのか、記事は次のように解説した。

《参院選で、各地の選挙管理委員会が開票作業のスピードアップに取り組む。結果を早く有権者に知らせるとともに、経費を減らす狙いだ》

 具体的な成果を報じたのが読売新聞の埼玉県版だ。2013年7月、「参院選 市町村選管 開票迅速化に工夫 選挙区、深夜に大勢判明」の記事を掲載した。

《行田市は3年前の前回選でわずか1時間40分で開票作業を終えた。選管担当者は「改善を積み重ねた結果だ」と話す》

《開票作業で時間がかかるのはだれに投票したかわからない疑問票の確認であるため、開票前に立会人を集めて疑問票を判定する職員の作業手順を説明している。イチゴパックを持った職員が候補者別に投票用紙を集めるという地道な作業も奏功している》

《長瀞町では(略)2年前の知事選から開票作業をビデオカメラで撮影。机の配置や職員の動きに無駄がないかも調べている。6月の町長選では、票の「読み取り分類機」を導入したことから、開票はわずか26分で終了した》

数千万の日本人が渡米したら?

 ムダをなくし業務効率を改善する「トヨタ式カイゼン」は有名だが、全国の選管も同じことを行っているのだ。ワシントンに25年間滞在したジャーナリストの堀田佳男氏は「あくまで冗談ですが」と前置きして言う。

「アメリカの人口は約3億2800万人ですが、事務作業に優れた日本人が数千万人単位で渡米し、大統領選の開票作業を担当すれば、その日の夜に大勢が決したかもしれません(笑)」

 堀田氏もアメリカではサービス業のレベルが低いことに悩まされたという。

「スーパーで買い物をするだけでも、信じられないくらいレジは遅く、たちまち行列ができます。アメリカで生活していて最もイライラするのが、サービス業の仕事ぶりと言っても過言ではありません」

 どうやら日本とアメリカでは、開票における“常識”からして違うことが分かる。NHKのニュースサイトNHK NEWSWEBは11月3日、「アメリカ大統領選挙 投票者数は?」との記事を配信した。

アメリカはいい加減?

 この記事には日本人にとって信じられないことが書かれている。例えば、大統領選における投票総数は不明なのだという。

 何しろアメリカでは、州における勝者が決まった段階で、開票作業は事実上、終わってしまうという。残った票は数えず、適当に振り分けてしまう。日本では、どれほど大差がついても、最後の1票まで集計する。また、だからこそアメリカでは、「数え直し」を求める訴訟が起きるのだ。

 更にアメリカでは、有権者の総数も不明という。戸籍や住民票が存在しないことが大きい。しかも、投票したい場合は有権者登録を行う必要があり、一応は国勢調査局が登録総数を発表する。だが、州によって制度も違うことなどから、正確な数字ではないという。

 報道では、推計値が使われている。朝日新聞(電子版)は11月4日、「激戦州、大接戦続く 投票率『100年で最高』の予測も」の記事を配信したが、フロリダ大の推計として《約1億6千万人が投票し、投票率は67%と、過去100年で最も高くなる》と紹介している。

 日本の場合を見ると、2017年10月22日に投開票が行われた衆院選では、投票総数は小選挙区と比例が共に約5500万票ずつで、合計すると約1億1000万票だった。

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