大村崑から森七菜、キムタクも…発売55年「オロナミンC」のCMはこんなに変わった

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過去には巨人軍、キムタク、上戸彩も

 そもそも大塚製薬は古くから宣伝上手で知られる。農家の納屋などにホーロー看板を貼り付け、オロCをPRした戦術もその1つ。昭和期にはバスも走っていないような過疎地にまでホーロー看板が貼られていた。

 長かったのが巨人軍のCMだ。2002年まで実に26年間におよんだ。選手たちのプレーばかりが流れたのではない。中畑清氏(66)や定岡正二氏(63)がバスケットボールに興じたり、スーツ姿でオフィス街を疾走したりするものまであった。

 オロCの知名度が揺るぎないものになったのは巨人軍のお陰だろう。今と違い、巨人軍の人気は絶大だった。そのイメージが強かったため、「アンチ巨人はオロCを決して口にしない」という逸話があったくらい。

 そんなこともあってか、1993年からは2年間、巨人軍と並行してキムタクこと木村拓哉(47)バージョンのCMも流れた。「ロングバケーション」(フジテレビ、1996)の大ヒットによってキムタク人気が大爆発する前だった。

 大塚製薬の先見の明は見事だったが、それにも増して広告業界を驚かせたのは、角刈りの中畑氏らとサラサラのロン毛だったキムタクを同時に起用したこと。発想がぶっ飛んでいた。これも現在の戦略と同じく、幅広い層に訴えるためなのだろう。

 ロングセラー商品であることから、オロCのCMキャラクターには時代が表れている。2003年に「冬のソナタ」が日本でも大ヒットすると、翌04年には主演のペ・ヨンジュン(48)を登場させた。

 女性を初めて起用したのも同じ2004年。まだ10代だった上戸彩(35)である。キャッチコピーも微妙に変化。やや軽くなって、「元気ハツラツぅ?」に。ジェンダーフリーが当たり前になりつつあったころだ。

 上戸の後任は嵐の桜井翔(38)。2011年から15年まで登場した。キャッチコピーは「元気ハツラツ!」に戻った。櫻井の後を受け継いだのは関ジャニ∞。ジャニーズ・アイドルがCMキャラクターだった時期も長かったのである。

 オロCは55年前の新発売時から中身も外観も価格も、ほとんど変わっていない。買う側に古臭さを感じさせず、高い売上げを誇り続けているのは、商品イメージの作り方がうまいから。CMが効果的だった。

 また、ロングセラーの背景には値段が相対的に安くなったこともあるはず。価格は誕生時が100円で、現在は税込み113円。55年前はジュースが40円以下だったので、高校生にとってオロCは高価な飲み物だった。でも、今では気軽に買える。

 森七菜が高校の校舎内で飲んでいても不思議ではない時代になった。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月7日掲載

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