イチロー、金本知憲に続くのは…今年の「ドラフト4位」で期待できそうな選手は?
日本プロ野球のOBでイチロー(元・オリックスなど)、桧山進次郎、赤星憲広(以上、元・阪神)、金本知憲(元・阪神など)、前田智徳(元・広島東洋)、和田一浩(元・中日など)、中村紀洋(元・近鉄など)、そして鈴木尚典(元・横浜)の共通点をご存知だろうか。打者としてタイプは違えど、全員“ドラフト4位”指名入団組なのだ。
現役組でも亀井義行(読売)、秋山拓巳、梅野隆太郎(以上、阪神)、福敬登(中日)、戸柱恭孝(横浜DeNA)石原慶幸、松山竜平(以上、広島東洋)、青木宣親(東京ヤクルト)、上林誠知(福岡ソフトバンク)、栗山巧(埼玉西武)、清田育宏、益田直也(以上、千葉ロッテ)、藤田一也(東北楽天)、近藤健介(北海道日本ハム)、そして山本由伸(オリックス)というように、投手野手に限らず、チームの中心となっている選手が多いのだ。そこで今回はこの事実を踏まえたうえで今年のドラフトで4位指名された選手に注目してみようと思う。なかでも今後の成長に特に期待したい高卒投手と高卒野手、大卒投手と大卒野手を各1名ずつ紹介していきたい。
まずは高卒投手から。広島東洋カープに指名された智弁和歌山のエース・小林樹斗である。身長182センチ、体重86キロの体格から投げ下ろす速球にキレのある右の本格派だ。今夏に行われた和歌山県の独自大会決勝戦では最速152キロを計測している。続く甲子園交流戦の尽誠学園(香川)戦でもリリーフ登板で自己最速に迫る151キロをマークし、3回3奪三振無失点と力をみせた。基本的には常時145キロ前後から150キロ前後の力のある直球で押し、そこにスライダー、カットボール、フォークなど130キロ前後の変化球を交えた投球で三振を奪っていくのが持ち味だ。直球と同じ腕の振りで変化球を操れる点も魅力的で、気持ちの入った投球ぶりも持ち味となっている。将来性豊かなエース候補といっていいだろう。
高校生の野手なら横浜DeNAベイスターズに指名された強肩強打の三塁手・小深田大地だろう。昨年夏の甲子園優勝校・履正社(大阪)の3番を担った左の大砲で高校通算35本塁打を誇っている。身長178センチ、体重88キロという恵まれた体格から積極的に振り切るスイングで強い打球を弾き返す。その打球速度が速いのも特徴で長打力も魅力だ。特に芯で捉えたときの打球は驚異的のひとこと。1年生秋の大阪府大会決勝戦では中堅122メートル、両翼100メートルというかなりの広さを持つ舞洲球場のライトスタンド場外まで飛ばしたパンチ力の持ち主で特大の2ランを記録したほどなのである。逆方向のレフトにもホームランが打てるバワーは魅力だ。さらに状況に応じて軽打もでき、巧打者としての一面も持っている点は見逃せないだろう。ただし、遠投は110メートルを誇るが、50メートル走は6秒7とその脚力は今ひとつ。プロ入り後の走力アップ次第では走・好・守3拍子揃った大型内野手になれる素材である。
大卒投手、野手は…
大卒投手では、東北楽天ゴールデンイーグルスに指名された亜細亜大の右腕・内間拓馬を推す。最速150キロの威力ある直球が武器の本格派右腕で東都大学リーグでは4年間で通算24試合に登板して4勝5敗、70奪三振、防御率3・03という成績が残っている。179センチ、86キロというガッシリした身体から投げ込む直球は常時130キロ台後半から145キロ前後をマークする。そこに交えるスライダーやツーシーム、カットボール、緩い縦のカーブといった4種類の変化球はどれも精度が高い点も魅力のひとつだ。昨年には侍ジャパン大学日本代表に選出され、すでに大舞台の経験があるのも心強く、パワー型ピッチャーとしての活躍が期待される。
最後に、大卒野手なら埼玉西武ライオンズに指名された駒澤大の若林楽人に期待したい。身長177センチ、体重75キロで身体能力がとにかく高い外野手だ。振り切るスイングから強い打球を弾き返す右打者で、特に肩と足に目を見張るものがある。守っては球際に強く遠投も125メートルを誇っている。大学では2年時の春からセンターのレギュラーを任されたほか、高校時代にはサードとショートも経験済みだ。走っては50メートル5秒8で右打者ながら一塁到達タイムは4・2秒台を計測する脚力の持ち主なのだ。選球眼にも定評があり、近い将来のチームのリードオフマンとしてはまさに適任だろう。潜在能力がとにかく高いので、その才能がいかに早く開花するかに注目だ。即戦力の期待が大きいドラフト1位に対し、下位の4位は将来性重視とよくいわれる。即戦力選手と違って、伸び伸びと練習できる環境も、好選手を生み出すという結果につながっているのかもしれない。
今回紹介できなかった残り8人を含めた12人全員が将来、チームの中心選手にまで成長することを願っている。