「私達は実験台じゃない」 11月7・8日の東京ドーム巨人戦「観客8割」実証実験のナゼ

スポーツ 野球

  • ブックマーク

チケット購入後に実験決定 熱烈ファン憤り

 さらに問題なのは、実証実験の実施が決まる前の段階で、すでに11月7、8日のチケットを先行購入しているファンが多数いることだ。

 巨人が来場者の上限を約8割に引き上げる旨を公表した上で、実証実験を行う両日のチケットを一般販売し始めたのは10月25日。

 実は、この時点でファンクラブ会員やシーズンシートオーナーら一部の客は、先行販売されたチケットを購入済みだった。

 チケットを先行購入していた客からすれば、「入場制限が5割だから安心して観戦できると思って買ったのに」「後付けで実験台にされるなんて、納得いかない」といった不満の声が出てくるのは当然だろう。

 不満ならばチケットを払い戻して返金してもらえばいいだろうという発想は出るだろうが、そこがプロ野球の殿様商売ゆえ、一度購入したチケットは雨天等で試合が中止にならない限り、払い戻しができない仕組みとなっており、原則としてチケットの転売も禁止されている。

 すなわち、先行販売でこの日のチケットを買った客は、約8割で密状態になった球場に感染リスクを抱えながら我慢して行くか、球場に行くのを諦めてチケット代をドブに捨てるかといった選択肢しか残らないのだ。

 熱心なファンゆえ、前もってチケットを購入して楽しみにしていたのに、実証実験のせいで心から楽しんで観戦ができなくなる事態が発生してしまうとは、気の毒というほかはない。

 新型コロナの感染拡大はおさまらず、来シーズンも入場制限は避けられないだろう。

 巨人は無観客で試合が開催されていた時期も、「WITH FANS」を掲げ、ファンありきの姿勢を前面に押し出していた。

 プロ野球は一体誰のためにあるのか。

 巨人軍、東京ドームはもちろん、NPBを筆頭に球界全体で改めて考えていくべきだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月2日掲載

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。