深田恭子、橋本環奈だけじゃない ドラマ「ルパンの娘」の楽しみ方
フジテレビが真剣に「笑われる」ことを目指したドラマ
荒唐無稽な設定に全員が真剣に取り組むことでガチのラブロマンスを作り上げた。それが「ルパンの娘」である。
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古臭さと懐かしさの違いは何か。古臭く感じるのは数年前の既視感、懐かしく感じるのは数十年前の既視感だ。それを端的に教えてくれたのは、作家・藤井青銅氏の『「日本の伝統」という幻想』(柏書房)だった。
藤井氏いわく、「一つ前はダサく、二つ前以上はロマン」。
「人は、自分の一つ前の世代に対してはダサく思い、反発する。しかし二つ以上前になると、リアルな接触がないので、古臭くてもむしろロマンを感じたりする」という。
なるほど! と思った。平成の時代には昭和を小馬鹿にしていたが、令和の時代になると昭和も褒め言葉に。
自分でも無意識だったが、その通りの文言を書き散らしていて恥ずかしくなった。なんてことを思い出したのは、「ルパンの娘」(フジ・木曜22時~)のせいである。
全力でふざけて一生懸命バカをやるドラマは、ここ数年は日テレと決まっていた。空回りする作品も増え、食傷気味でもある。
ところが、昨年フジテレビが真剣に「笑われる」ことを目指した。それが「ルパンの娘」だった。
泥棒一族の娘と警察一家の息子の恋という、荒唐無稽な設定に全員が真剣に取り組む。笑わせるのではなく、笑われることに重きを置いて、こっぱずかしくなるようなガチのラブロマンスを作りあげた。
そして、まさかの続編。「監察医 朝顔」の続編は絶対作るだろうなと予測はしていたけれど、まさかこれも時を待たずに作るとは……。
ダサさを通り越してちゃんとロマンになっている
このドラマは、古臭さも一周回って新しいというか、懐かしさをふんだんに盛り込んだ異種コメディである。
主題歌といい、ランバダダダランバダダダ~の効果音といい、泥棒一族のメインビジュアルといい、秘密兵器といい、昭和の時代に子供だった40代・50代を虜にする懐かしさがある。
さらにこの世代が若かりし頃にハマった名画や名作の名シーンをオマージュとしてぶちこみ、中年の心の隙間にすっと入り込んできやがる。
細かいネタはいちいち書かないが、要するにダサさを通り越してちゃんとロマンになっているのだ。
泥棒一家「Lの一族」の娘・三雲華を演じるのは深田恭子。ルックスと衣装が絶賛されて話題に。演技に関してはみんな遠くを見つめるのが定番だ。
でも、マジ可愛い。今回は体を絞ってきた感もある。アクションはやらないのに。ポーズだけビシッと決めてくれれば、ファンは満足。スタッフの編集技術も巧みだし。
恋のお相手、警察一家の息子・桜庭和馬を演じるのは、悲恋が得意な瀬戸康史(わりと一途で思いが叶わぬ役が多い)。
警察官の矜持は人一倍強いが、愛した女は犯罪者というジレンマに悩む役だ。案外弱くて、すぐ悪者に拉致されるクセがあるし、白目剥いて気絶する回数も多いのが定番。
今回新たに加わったのが、名探偵の一族だ。京都の名探偵・北条宗真(伊吹吾郎)は、長年Lの一族を追い続けていたが、自宅が延焼し、自害した(ことになっている)。
北条家の孫・美雲(橋本環奈)は、祖父の遺志を胸に秘め、東京へ。Lの一族の正体を暴こうと奮闘することに。環奈の微妙な京都弁とイケズな京都人っぷりは、新キャラクターとしていいアクセントになっている。
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