新型iPhoneでも独占が崩れ 日本に依存する他ない「韓国」企業の落日
ふた言目どころか、ひと言目から国産化を叫ぶ文在寅政府だが
その直後の10月15日、韓国メディアはLGディスプレイがフッ化水素の100%国産化を完了したと一斉に報じ、日本の輸出管理強化から100日余りで「日本依存から脱皮」と沸き立ったが。
LG社が国産化を完了したのは、輸出管理対象外の低純度フッ化水素を加工したエッチングガスで、それまで日本から最終製品を輸入していたが、物流効率化のため、日本から素材を輸入して韓国内で加工する方式に切り替えたのだった。
ふた言目どころか、ひと言目から国産化を叫ぶ文在寅政府だが、韓国製の核心部品は日本企業の韓国工場と、サムスンやLGが日本企業と合弁で設立した工場の製品が大半を占めている。
ディスプレイの前面ガラスは日本と日本企業の韓国工場がほぼ100%で、LGディスプレイは日本電気硝子に依存している。
滋賀県に本社を置く日本電気硝子は、2005年、LGフィリップスLCD(現・LGディスプレイ)と合弁で、LGディスプレイの企業城下町となった京畿道坡州市に坡州電気硝子を設立、日本で製造した板ガラスを加工して、LGディスプレイに供給した。
LGディスプレイは2009年以降、大型パネルの出荷量世界1位となり、日本電気硝子は2013年、日本企業の韓国進出で過去最高額の14億ドル余りを投資して韓国工場を設立した。工場が稼働するとLG社の日本電気硝子への依存度は50%前後まで倍増した。
実情は下請け工場と変わらない韓国企業
サムスンディスプレイとLGディスプレイが日本に依存する一方、日本の家電メーカーも普及価格帯のテレビなど、韓国企業製ディスプレイを採用している。
日本企業が素材や部品を供給し、韓国企業が組み立てたディスプレイを日本メーカーが買い戻してテレビに組み込んでおり、表向きはサプライヤーだが、実情は下請け工場と変わらない。
半導体やディスプレイなど、複数企業の素材等を組み合わせて、部品が作られる。
1つの素材を開発しても、他社の素材と組み合わせたときに期待通りの結果が得られるかなどを検証し、問題が見つかれば、どの素材とどの素材の組み合わせが原因か、パズルを解く必要がある。
ギャラクシーノートの発火で多額の損失を出したサムスンにとって、トラブルの事前防止は必須だが、中国や台湾の企業と競争にさらされている昨今、時間をかけてパズルを解く余裕はなく、日本からの継続的な調達頼みというのが韓国大手の本音である。
先端素材の国産化を唱える文在寅政権は、サムスンやLG、現代自動車などに中小企業への技術開発支援と韓国製品の調達を強要する。
しかし、電機メーカーの幹部は「韓国企業も作ろうと思えば作れるだろうが、歩留まりが悪くて採用は難しい」「生産技術は日本企業に一日の長があり、短期間で成果を上げようとしても、うまくいくかはわからない」と話している。
実際、サムスン電子やSKハイニックスに半導体部品を供給するある日本企業は、物流を効率化するため韓国で製造したことがある。
が、歩留まりが悪すぎて、日本で製造する方が、トータルコストが安く済み、またトラブル時のクレームを考えると、日本で作って輸出する方が良いと判断して韓国内の製造をやめたという。
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