カーシェア会社破綻で窮地のオーナーたち 高級車が放置される駐車場で見た修羅場とは
高級車専門カーシェア会社「Sグループ」の破綻から半月あまり。同社の破綻と同時に、600人ものオーナーがローン地獄に陥った騒ぎは、ワイドショーで取り上げられるなど社会問題化しつつある。240台の高級車が放置された埼玉県草加市の駐車場を訪れると、途方に暮れるオーナーたちの姿があった。
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“高級車のオーナーになって投資をしませんか?”
オーナーたちは、Sグループから“費用ゼロの儲かる投資”として勧誘され、7年の長期ローンを組んでベンツ、レクサス、BMWなどの高級車を購入していた。
事情に詳しい中古車販売業社によれば、
「ローン代、保険代、自動車税などの諸々経費は、オーナーたちから車を預かったSグループが、カーシェア事業で出す利益から支払い続ける約束でした。実際、Sからは毎月のローン代金などが振り込まれていましたが、8月末ころからSの資金繰りが悪化して入金がストップ。10月上旬には事業停止となり、連絡がつかなくなってしまったのです」
突如、オーナーたちは多額の残債を負わなければならなくなったわけだ。
「Sの活動が始まったのは2年くらい前だったので、ほとんどのオーナーは50回以上のローンが残った状態です。彼らの多くは、月々手取りで20~30万円くらいの、20代から30代の若者たち。契約したらすぐもらえる数十万円の“ボーナス”に目が眩んでしまった」(同)
すし詰め状態で車が動かせない……
埼玉県草加市のある駐車場には、240台もの名だたる高級車が、すし詰め状態で置き去りにされたままだ。
10月24日、記者が訪れると、自分の車を探し求めにきているオーナーたちの姿があった。彼らの相談に乗っている、作業着姿の男性に話を聞いた。
「私はSグループ内の整備工場から、ここにある車の修理を請け負っていただけで、なんの責任も権限もありません。ここの車の鍵を預かっていただけ。不憫なオーナーたちのため、ボランティアで車探しを手伝っています」
彼によれば、数日前から1日15人ほどのオーナーが訪れるようになったという。
「ほとんどのオーナーが、実物すら見ないまま車を購入し、Sに管理を任せていました。だから、いま自分の車がどのような状態か不安で駆けつけてくるのです。ただ、全員が見つかるわけではないですよ。カーシェアで貸し出されたままで戻ってきていない車も200台くらいある。どうしても車を乗って帰りたいという人には、鍵を渡していますが、ご覧の通りのすし詰め状態だし、事故や故障で動かない車もあります。乗って帰れた人は2、3人くらいかな」
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