免許証とマイナカード一本化の先にあるもの 「韓国」では個人情報ダダ漏れで

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個人のプライバシー侵害は無視されているとも言える

 韓国人はせっかちだから、個人情報が流出するリスクがあっても、煩わしいその代行サービスより、簡単な方を選ぶのだ。

 しかしながら、自動車に残された個人の携帯電話番号を狙う犯罪は思ったより多い。

 電話番号を利用した個人情報の流出をはじめ、誘拐、金品要求、ストーキングなどが代表的だ。事件数は減ったとはいえ、女性ドライバーの電話番号はさまざまな面で犯罪の標的になる可能性が高い。

 先に触れたように、新型コロナにより現在は、飲食店やカフェ、公共施設では、個人情報がわかるQRコードを利用することになっている。

 QRコードの登録がない市民は専用の入店記録に記入し、各店が入店者名簿を作成することが義務づけられている。

 そこでは情報提供同意項目があるが、これを重要視する韓国人は思ったより少ない。

 国では新型コロナの拡散防止のため、個人情報(名前や携帯電話番号、最近の海外旅行の有無、発熱や症状)の提示を強制しているが、裏返せば、個人のプライバシー侵害は無視されているとも言える。

 行動履歴を誰かが監視し、どこかに報告される――。最近では女性が連絡先を残す際に盗み見て連絡し、出会いや交際を要求するケースもあった。

 実際、韓国人の個人情報は知らないところで取引される。

 司法研修院の卒業アルバムや有名大学の卒業アルバムなどを結婚情報会社に販売するケースもあり、ハッキングによって流出した個人情報は、中国や第三国に売られるケースが多い。

 韓国人の個人情報は過去100ウォン(10円)程度で取引されたが、今は1ウォン(0・1円)程度で取引されているという。

 中国に流出した個人情報は様々な目的で使われる。

 マーケティング資料や商品購入分析にも使われるが、一部はボイスフィッシングや偽銀行口座開設、ポータルサイトの虚偽アカウント作成、偽パスポートを作るといった犯罪に使われることもある。

ほぼ全国民が一度は個人情報流出に遭っている計算

 あるショッピングモールサイトに加入しようとして個人情報を入力すると、「すでに加入している会員です」というメッセージが出る時もある。

 すでに情報が流出してしまっているわけだが、それを元に戻すことは容易ではない。

 韓国ではここ数年、大型インターネットショッピングモール、銀行、ポータルサイト、オンラインゲームサイトに保存された個人情報がハッキングによって流出した事例が多い。その場合、500万から1000万人分の情報が失われるという。

 住民登録番号のない幼い子どもとインターネットの使用頻度が高くない層を除けば、ほぼ全国民が一度は個人情報流出に遭っている計算だ。

露出された個人情報がどこに行くのか、どのように使われるのかについては、大きな関心を持つ人がいないことも韓国特有だ。

 個人の自由とプライバシーの保護が先か、公共の利益が先かについては、人によって意見は異なるだろう。

 とはいえ、流出防止についての対策はないに等しく、あっても行き当たりばったりで、韓国人のせっかちな性格が災いしているようだ。

ソウルトンボ
ソウル在住の韓国人ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月24日掲載

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