「学術会議」騒動も政権支持率は落ちず 野党は利用できるのか(KAZUYA)

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 菅義偉政権が発足し約1カ月が経過しました。各種世論調査を見ると支持率は出だし好調の様子で、JNNの調査結果を見ると70.7%が支持するとしています。まだ現実問題として何か成し遂げたわけではありませんが、不妊治療の保険適用拡大や携帯料金の値下げ、デジタル改革など菅政権への期待の表れと言えるでしょう。

 安倍前総理が自民党総裁の任期途中で辞任したため、菅氏の任期は約1年しかありません。濃密な1年にするために、どこまで計算なのかわかりませんが、いま問題になっている日本学術会議の人事の件も世論が良くも悪くも沸き上がることを見越して仕掛けているのではないかと思ってしまいます。

 210名の会員が3年毎に半数ずつ入れ替わる学術会議ですが、会員と約2千名の連携会員が推薦、選考委員会を経て同会議が推薦し、総理大臣が任命する中で今回、6名が任命見送りとなりました。個別具体的な理由については明かされていませんが、これまでに安保法制や共謀罪の要件を盛り込んだテロ等準備罪に反対の立場を唱えたからではないかと噂されています。

 このあたりの問題は左派が盛んに反対を訴えていました。そして今回の6名を任命見送りとするなら、騒ぎ出すというのは想定できたことでしょう。それをあえてやっているのですから、意図があるとしか思えません。

 今回の人事で日本学術会議は世間一般に知れ渡ることでしょう。情報が連日出るにつれて学術会議の存在自体必要なのかという議論にもなっています。

 1949年に当時の総理府の所管で、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立された日本学術会議ですが、この頃は日本が占領されていた時期です。それでいて一貫して軍事研究に否定的な姿勢を考えると、何か政治的なものを感じてしまいます。というより、軍事研究は国家の生存に関わる問題です。それを否定的に捉える時点で自ら学問の自由を貶めていると言えるでしょう。

 日本の研究には厳しいですが、何でもありの中国にはやさしい面があります。中国科学技術協会との協力促進を図る覚書を交わしていて、それはいいのかという話です。もはや軍事的かそうでないかなんて明確な線引きは不可能でしょう。

 存在自体必要なのかというレベルの日本学術会議ですが、野党はこの問題で政権を攻め立てていく様子です。しかし政権を打倒するなどというのは夢のまた夢でしょう。それは冒頭に紹介した世論調査にも表れています。日本学術会議の人事について、任命見送りが妥当だとする人は24%に対し、妥当ではないと答えた人は51%と半数を超えています。一方で内閣支持率は70.7%ですから、総合的に考えると響いていないのです。

 完全にモリカケ桜と同じ運命を辿ることになるでしょう。むしろ野党としてはそれが狙いなのかとすら思います。実際に政権が取れてしまっては困るので、適当な議席を確保しつつ、与党の批判でプロレスをやる……。野党も学術会議と一緒に見直したほうがいいかもしれませんね。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。2012年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者74万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2020年10月22日号掲載

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