埼玉県はうどんの生産量が香川県に次いで「全国2位」 “ご当地うどん”は20種類以上

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 埼玉県物産観光協会は県のうどん文化を広めるため、登録店舗でうどんを割安で食べられる「埼玉うどんパスポート2020アプリ」を配信している。実は、埼玉県はうどんの生産量が香川県に次いで全国2位。ご当地うどんは20種類を超えているという。知られざる埼玉のうどん文化を紹介しよう。

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 農林水産省の「米麦加工食品生産動向」によると、2009年のうどんの生産量は、1位の香川県が5万9643トン、2位の埼玉県は2万4720トンだった。香川県とは大きな差があるものの、昔から好んで食べられている。

「埼玉うどんパスポート」は、最初2019年に発行された。アプリではなく、クーポン付きの冊子で1万2000部配布された。今年は、利便性の向上とコロナウイルス感染防止の観点から、アプリで配信したという。

「埼玉県はご当地うどんが多く、うどん王国となっています。2017年から3年間、熊谷市で『全国ご当地うどんサミット』が開催されました。埼玉のうどん文化を多くの方に知っていただくために、パスポートを発行しました」

 とは、埼玉県物産観光協会の担当者。

うどんパスポートの期間は、来年2月末まで。アプリから利用店舗名やメールアドレスを記入して送信すると、クーポンが送られてくるという。

「登録店舗は60店舗で、770円以上のものを550円。1320円以上のものは1100円でご利用いただけます。同じ店舗の利用は3回までとなっています。現在、パスポートアプリのダウンロード数は4万件を超えています」(同)

熊谷市は小麦の聖地

 そもそも、なぜ埼玉県にうどん文化が生まれたのか。

「埼玉にうどんが定着したのは、明治から大正にかけて小麦の増産に取り組んだ熊谷市出身の農業家、権田愛三氏の功績によるところが大きいですね」

 と解説するのは、「うどんパスポート」の監修を務めた、埼玉を日本一の「うどん県」にする会の永谷晶久会長である。埼玉在住の同氏は、昨年11月に『スゴイ!埼玉うどん王国宣言!』(大空出版)を出版。「マツコの知らない世界」(TBS系)にも出演して、埼玉のうどんを紹介している。

「権田氏は、二毛作と麦踏みによって、小麦の収穫量を4、5倍に増やしました。麦踏みというのは、麦が小さいうちに踏んで傷をつけると、根が張って繁殖力が高まります。これで収穫量が大幅に増えたのです。その成果を地域の農家に伝授しました。小麦の生産が盛んになり、昭和30年代まで、埼玉県は小麦の生産量が日本一でした。熊谷市は、小麦の聖地と呼ばれています」

 熊谷市には、地場産の小麦をふんだんに使い、香り豊かでツルツル、モチモチの食感が楽しめる「熊谷うどん」がある。

「古いのでは、加須うどんですね。手打ちうどんが有名で、江戸時代の徳川吉宗の頃から300年以上の歴史があります。古い民家では今でも残っていますが、うどん小屋が離れにありました。そこでうどんを作っていたのです。離れにしたのは、うどん粉が飛び散るからです」(同)

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