日本学術会議が北大の“学問の自由”を侵害 名誉教授は「なぜ中国を批判しない」と指摘

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学術会議の“偏向”

 国費が使われていないのであれば、政府に批判的な立場の会員が存在しても、基本的には問題ないことになる。

 とはいえ、今の日本学術会議が持つ“偏向”は看過できないものがある、と奈良林氏は指摘する。

「日本学術会議の提言により、北大では船舶の抵抗を減らす研究だけでなく、ロケット開発の研究も応募寸前で応募禁止となりました。北大だけでなく、全国の大学で同じことが起きました。たとえ民営化されたとしても、日本学術会議が特定のイデオロギーに基づいて学問の自由を侵害するような行為は、根絶する必要があると思います」

 国立大学協会の永田恭介会長(筑波大学学長)は3月27日、「(どこの省庁の公募事業であれ)国を守るための研究は正しいのではないか」と日本学術会議に批判的な意見を表明した。奈良林氏も「全くの正論です」と言う。

「中国の公船が尖閣諸島で度重なる領海侵犯を行い、北朝鮮は核武装を進めています。東アジアの安全保障リスクは高まる一方です。日本の大学が自衛のための研究に力を入れるのは当然であり、それを批判する方が見識を疑われても仕方ないのではないでしょうか」

中共は批判せず

 日本学術会議は国内で“軍事研究”が行われないよう努力を続けているという。だが隣国で言論や学問の自由が脅かされ、軍事研究が大規模に実施されていることには警鐘を鳴らさない。

「現在の香港は、中国共産党によって言論や学問の自由が直接的に犯されています。習政権を批判すれば、収監されても不思議ではありません。ところが日本学術会議が香港の支持を表明し、中国に対して抗議したとは聞いたこともありません。中国や北朝鮮の軍拡に対しても、批判する声明を出していません。このままですと、日本学術会議は特定の国家や野党の主張に与みしているとの批判に耐えられないでしょう。組織の抜本的な見直しが必要だと思います」(同・奈良林氏)

 奈良林氏は東日本大震災が起きてからも、原子力発電の問題点と同じように、安全性も指摘し続けた。

“御用学者”とレッテルは貼られ、「原発推進派の奈良林に天誅を下す」とか、「家族を皆殺しにする」とか、北海道大学の総長室、広報、教務課に脅迫状やメールが多数送りつけられ、殺害予告も来た。

「大学と相談し、北海道警察に届けましたが、『これは威力業務妨害に該当し、れっきとした犯罪です』と身辺警護を行ってくださいました。このように、私は左翼の人たちによって自分自身の言論の自由、学問の自由が脅かされた経験を持っています。今回任命された6人の皆さんは、どのような活動をされておられるのでしょうか? 『まさか、特定の政党に与して、サイエンスに基づく学術的な公平性を欠いていることはないですよね』と言いたいです」

週刊新潮WEB取材班

2020年10月21日掲載

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