日本語を採用する「韓国」政府と自治体 日本の植民地時代の清算を叫びつつ
日本語漢字の韓国語読みが並んでいる
明治時代、米国や西欧との交流がはじまった日本は、欧米からもたらされた文化を表す新しい日本語を次々と生み出して、韓国や中国にも輸出した。
たとえば、中華人民共和国の「人民」と「共和国」は英語のピープル(People)とリパブリック(Republic)の訳語として日本人が作った和製漢字語で、「朝鮮民主主義人民共和国」や金正恩の「朝鮮労働党」も「朝鮮」以外は和製漢字語である。
英語のアドバタイジングやプロパガンダを意味する日本語や中国語はなく、福澤諭吉は、広く伝えるアドバタイジングを「広告」、知っている人に深く浸透させるプロパガンダは「宣伝」という訳語を作り、韓国や中国にも伝わった。
韓国では宣伝はほとんど目にしないが、「広告」は広く使われている。
鉄道用語は日本語のオンパレードだ。韓国の鉄道は、渋沢栄一が仁川と漢城(現・ソウル)を結ぶ路線を敷いたのが最初で、汽車、改札、入口、出口、乗換、手荷物、受取、取扱、取消、割引、特急、急行等々、日本語漢字の韓国語読みが並んでいる。
また日常的に使われる個人、義務、鉛筆、電話、飛行機、新聞や哲学、環境、化学、科学、芸術、写真なども日本製漢字語の韓国語読みで、代替する韓国語はない。
靖国神社を「ヤスクニ紳士」という偉人の名だと考える若者も
韓国語には漢字語と固有語があるが、7割近くが漢字語で、さらに韓国の漢字語のおよそ8割が日本製漢字語だといわれている。
つまり、韓国語のおよそ半分が日本語に由来する計算になる。
韓国政府やソウル市は、日本が持ち込んだ漢字語をなくすというが、そんなことは本当に可能なのだろうか。
日本語漢字の排斥は、不便さと同音異義語の乱発を引き起こしている。
韓国の政府や自治体は日本製漢字語を韓国の固有語に置き換えて、搭乗口を「タヌンゴッ(乗るところ)」、出口を「ナガヌンゴッ(出るところ)」など、国際都市を標榜しながら辞書にはない表現に変え、K-POPにハマって韓国を訪れる韓国語学習者の旅行を妨げている。
また同音意義語がとても多く、韓国語では会は「フェ」、長、葬、場はすべて「ジャング」なので、「会長が会葬の会場に行く」は、「フェジャングがフェジャングのフェジャングに行く」となる。
神社と紳士はいずれも「シンサ」と読み、若い人のなかには靖国神社を「ヤスクニ紳士」という偉人の名だと考える人もいるという。
祀られている人のなかには偉人がいるので間違いではないが。
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