リニア改良型試験車“試乗体験レポート” ふかふかシートで時速500キロの乗り心地は?
2センチ広い、ふかふかの座席はグリーン車のよう
さあ、次は待ちに待った新型車輌だ。6号車に入った瞬間、視界がぱっと白く開けた。天井パネルの中にまっすぐ伸びる2本の高輝度LEDが、白を基調とした室内を隅々まで灯し、スタイリッシュな空間を作り出している。
目を引くのは、青とグレーでデザインされた大きな座席だ。さっそく座ってみた。ソファーのようにふかふかで気持ちいい。多層構造のクッションを背もたれと座面に採用し、体圧を分散させているという。
先ほどの旧型よりもゆったりしている。聞けば座席幅は約2センチ広いという。たった2センチの差が、こんなにも大きいものなのか。最も気に入ったのが両耳を包み込むような形状をした、頭部のクッションだった。長時間乗っていても、首や肩が疲れなさそうだ。もっとも、高速移動が売りのリニアに、そんな心配など無用なのだが……。
一言でいえば、グリーン車のような快適さ。旧型とはえらい違いである。
7号車も新型車輌だが、照明などのテイストが少し変わる。JR東海によれば、比較検証するために、異なるメーカーの改良型新車輌を2種類用意したという。こちらも白を基調とした開放感があるデザインだが、6号車に比べると柔らかい明るさだ。照明を、東京ドームの天井のような素材を通しているからだという。
目と閉じたらいつの間にか寝入ってしまった
両車輌ともに、広い空間を確保するため、荷棚が小さめな作りになったところも注目すべき点だ。大きなリュックを置くのは窮屈そう。代わりに、航空機のように前の座席の下に収納スペースが新たに設けられた。
ほか気になったのは、USBコンセントが座席には付いてはいるが、普通のコンセントがない点だろう。これでは、ノートパソコンの充電ができないと心配になったが、将来的にはモバイル機器はこれまで以上に小型化し、USBで事足りると予測したうえでのことだという。
では、肝心の走行中の乗り心地は、旧型と比べてどのくらい変わるのか。
再び列車が動き出すと、違いは明らかだった。椅子のクッションが振動を吸収してくれるのか、揺れをあまり感じない。音も静かになったような気がした。天井に吸音素材を活用するなどして、車内の反射音を低減しているという。
そのほか、車内からはわからないが、改良型は車輌の先頭部に凹凸をつけるなどして空気抵抗を13%下げ、消費電力や社外騒音を低減する改良が加えられているという。もちろん、まったく振動や騒音が気にならないというわけではない。だが、座席の快適さを加味すると、記者には日頃乗っている新幹線以上に快適に感じられた。スタート地点へ戻る走行中、うとうと微睡(まどろ)んでしまったほどであった。
こんな快適空間で、大阪まで1時間ちょっとで行ける日がくるならば、どれだけ便利であろう。夢の実現が待ち遠しい。
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