Kis-My-Ft2「宮田俊哉」の“好き”を突き詰めた人生 アニメ、ヲタ芸から声優にも挑戦
声優スクールに通った日々
そして、宮田の“好き”は結実し、ついに声優としてのオファーがやってくる。語る側から、語られる側へと一線を越えるときがやってきたのである。
もちろん嬉しさもあったというが、そこに生まれたのは「作品を台無しにするのではないか?」という、好きだからこその葛藤。
そこで、「声優をやるのであれば、レッスンを受けさせてください!」とマネージャーに直訴。「一度、しっかり基礎から教えてもらえないのであれば、『うれしいけど、俺はできない!』と言いました」と語っている。
結果、声優の浪川大輔が代表を務める声優スクールに通い、浪川本人からも教えを受けた。
「まだ、わからないことが多いので来週もまたお願いします! もう少しやりたいです!」と、レッスン期間を延長して何度も通い続けたという。(*6)
そうして臨んだ公開中の映画「劇場版BEM~BECOME HUMAN~」では見事な演技を披露。
「ブレイブ・ストーリー」の松たか子や「ど根性ガエル」の満島ひかりetc……。
声優が本業ではない、有名俳優やタレントが声を吹き込むときは、過度に本人の印象が思い浮かばない方が吉と出るが、宮田の演技はいい意味で、宮田であることを思い出させない演技だった。
声優をできる嬉しさや、自分が宮田俊哉であるという主張ではなく、作品のパーツとしてあろうとする姿勢。
「ジャニーズだから」と思われないように努力を重ねている
そう感じられたのはきっと「好きだからこそ妥協はしたくない気持ちがあります。(中略)声の仕事を専門とする“声優”ではない僕自身が、中途半端な気持ち、中途半端な技術のまま挑んではいけないことだと感じたからです。(中略)ファンの方、作品へ失礼にならないように心がけていました」という真摯な想いと努力の結晶だろう。(*6)
現状、宮田に仕事がくるときはジャニーズタレントであることと切り離すことは不可能だろう。
既に存在する宮田の人気を期待してのオファーもあるはずだ。だが、そこに「ジャニーズだから」手を抜いていいといった想いは微塵も感じられない。
宮田に限ったことではないが、拙著『ジャニーズは努力が9割』を編む過程で、ジャニーズタレントは、他ジャンルの仕事をするときに「ジャニーズだから」と思われないように努力を重ねている、と感じた。
その根源となる思いは、例えば「アイドルだとなめられないように」であったりするが、今回の宮田の仕事は「好きだからこそ失礼がないように」という想いが大きく作用しているようだった。
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