「JR東日本」終電30分繰り上げの理由とは? これまでの終電の推移を辿って分かること
中央線の0時23分発の立川行きは三鷹行きに?
列車の運転本数が増えて線路をメンテナンスするために必要な作業量が増加した結果、作業時間を確保する目的で終電をおおむね10分から20分程度繰り上げ、同時に始発電車もやはり10分から20分程度繰り下げたのである。
1964年と同様に2021年も東京オリンピックの開催が予定されているのは偶然の一致であろうか。
いまよりも遅い終電の時刻はいつから始められたかというと、京浜東北線の横浜方面は1953(昭和28)年4月20日からで、ほかはすべて1951(昭和26)年4月15日からである。
1951年に終電が延長された理由は興味深い。戦後の復興が軌道に乗って人々が夜遅くまで活動するようになった――という理由も挙げられるが、何よりも当時導入されていた慣習が背景にある。それはサマータイムだ。
連合国軍占領下の日本では1948(昭和23)年から1951年までの4年間、夏季に時計の針を1時間早める夏時刻を採用していた。
この結果、夜遅くまで活動する人が増えたとして国鉄は終電を延長したのである。
いまであれば中央線の終電が終点の三鷹駅に着く1時41分はいかにも深夜と感じられるが、当時の感覚で言うと0時41分であるからそう遅くはない。
さて、1951年4月15日より前の終電の時刻が気になる。早速紹介しよう。
・中央線
0時23分発立川行き(1時25分着)
・山手線
外回り 0時23分発品川行き(0時35分着)
内回り 0時20分発池袋行き(0時45分着)
・京浜東北線
横浜方面 0時33分発桜木町行き(1時17分着)
大宮方面 0時46分発上野行き(0時54分着)
1950(昭和25)年10月1日改正
筆者の推測だが、2021年春からJR東日本が変更しようとしている終電の時刻は、おおむね1951年4月15日よりも前の時点での時刻ではないだろうか。
1つ注意点を言うと、同社は1時以降に列車を運転しないつもりらしい。
したがって、中央線の0時23分発の立川行きは三鷹行きに、京浜東北線横浜方面の0時33分発桜木町行きは蒲田行きにと運転区間を縮めれば、いま挙げた終電の時刻がそのまま採用となるであろう。
終電の繰り上げはまさに「歴史は繰り返される」という言葉そのものなのだ。
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