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森保監督の懸念材料

 コロナ禍により五輪は1年延期され、W杯予選も世界的な規模で先送りされた。しかしながら今年1月のU―23アジア選手権は東京五輪の最終予選も兼ねていたため、韓国やサウジを筆頭にどのチームも完成度の高いチームを送り込んだのに対し、森保監督は海外組を招集できなかったとはいえ選手のテストを繰り返してグループリーグで敗退した。いくら予選を免除されているとはいえ、他国と比べてチーム作りの遅れは明白だった。

 A代表に関して言えば、3月と6月にアジア2次予選が終了すれば、9月からはアジア最終予選が始まるはずだった。

 ちょうど4年前の2016年9月、リオ五輪後に当時のヴァヒド・ハリルホジッチ監督(68)はホームにUAEを迎えてアジア最終予選をスタートさせたが、結果は1-2の黒星スタートだった。

 今回はコロナの影響でW杯予選の日程が変更されたものの、本来ならチームの骨格はもちろん、スタメンとサブの役割も見えてきてもいい段階である。果たして森保監督は、いつチームのメンバーを固める作業に入るのだろうか。

 A代表は言うに及ばず、五輪代表にいたっては三笘薫(23)[川崎フロンターレ]らの台頭は好材料だが、いったい誰が招集されるのかさっぱりわからない状況だ。コロナの影響があるかもしれないし、チーム作りは日々変化するものかもしれないが、それでもこれが森保監督につきまとう懸念材料と指摘したい。

10億円の収入減

 日本サッカー協会は14日、11月17日にオーストリアでメキシコと親善試合を実施すると発表した。コロナによる出入国の規制が緩和されない限り、海外組によるヨーロッパでの試合開催はやむを得ないだろうし、それなりのメリットがあることは前述した。

 その一方で、アウェーの親善試合はデメリットもある。Jリーグ同様、入場者に制限があるとはいえ、入場料収入がまったく入ってこない。それに伴うスタジアムでのグッズ販売、飲食などの収入もゼロだ。幸いにも今回の2試合は、民放2社がテレビ中継したおかげで、1試合最低1億円とも言われる放映権料が日本サッカー協会に入った。

 しかし3月と6月のW杯2次予選、10月と11月の最終予選と親善試合が延期になったことで、日本協会は10億円以上の収入減になるだろう。「サムライブルーが稼いで、なでしこジャパンやアンダーカテゴリーの強化費を捻出する」という図式がコロナで崩れた。こればかりはコロナの沈静化を待ちつつ、代表選手のさらなる成長を期待するしかないだろう。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月17日掲載

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