中曽根元首相への弔意要請は思想統制? 文科省文書を調べて分かった意外な事実

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興味深い“前例踏襲”

 中曽根康弘元首相(1918~2019)の「内閣・自由民主党合同葬儀」は10月17日に行われる。会場は都内の高級ホテル、グランドプリンスホテル新高輪だ。

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 この合同葬に関し、共同通信は10月14日、「文科省、国立大に弔意表明求める 故中曽根康弘氏の合同葬」の記事を配信した。

《文部科学省が全国の国立大などに、弔旗の掲揚や黙とうをして弔意を表明するよう求める通知を出した》

 スクープ記事のため、新聞他社やテレビ局が後追い記事を掲載。あっという間に世論が二分し、現在も賛成派と反対派で論争が続いているのはご存知の通りだ。

 共同通信の記事はYAHOO!ニュースにも転載され、トピックスに選ばれた。広範な読者を獲得し、同記事のコメント欄は10月16日現在、投稿数が6000件を超えている。これは相当な数だと言える。

 このコメント欄に、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が専門家としてコメントした。要点は、以下の2点に要約できる。

【1】1988年の三木武夫元首相[衆院・内閣合同葬]、95年の福田赳夫元首相[内閣・自民党合同葬]、2000年の小渕恵三元首相[同]でも国立大学などに弔意が求められた。今回の中曽根元首相のケースも前例に従っているだけと言える。

【2】弔意を求めること自体も、国立大学は国の税金によって運営されている。元首相に弔意を示すというのは、そこまで不自然なこととは思えない。

省に残っていた記録

 石橋氏のコメントに対し、10月15日現在、「参考になった」の数が1万4000件を超えた。これも極めて数が多い。

 後で紹介するが、石橋氏は新聞報道を調査し、過去にも弔意の表明を求めた事実を明らかにした。

 ならば文部科学省に何か資料が残っているのではないだろうか。取材を依頼すると、担当者が「手元にある中では」10人の元首相について記録があるという。

「10例のうち、弔意表明について閣議決定が行われ、国立大学に弔意表明の通知を出したのは3例ありました」(同・担当者)

 古い順にご紹介しよう。

 1例目は2000年に死去した小渕恵三元首相(1937~2000)。

 2例目は04年に死去した鈴木善幸元首相(1911~2004)。

 3例目は06年に死去した橋本龍太郎元首相(1937~2006)

 つまり、この3人の元首相の“前例”を、中曽根元首相でも踏襲したことになる。

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