原発、石炭火力をやめることは可能なのか 「自然エネルギー」拡充の難しさ(KAZUYA)
立憲民主党の枝野幸男代表は、日本を「自然エネルギー立国」にしたいと街頭演説で訴えています。
自然エネルギー……この美しい響きは人々を盲目的に信用させますが、日本を豊かにするものなのかを立ち止まって検討する必要があるでしょう。
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そもそも日本には資源があまりありません。原油は中東依存ですし、石炭や天然ガスもオーストラリアを始め各国から輸入して賄っている状況です。輸入にはリスクが伴います。関係国で紛争が発生したら、備蓄分があるとはいえ危機的な状況になるでしょう。こうした資源は発電に用いたり、ガソリン等の動力資源として使われます。我々の生活に欠かせないのです。
日本の場合、2011年の震災前は20%程度あったエネルギー自給率は、9.6%(17年)となっています。福島第一原発の事故以降、全国の原発を止めてしまったので、自給率も落ちたというわけです。原発は化石燃料と違って都度原料を輸入する必要がありませんし、安定して安価な発電が可能でした。今は安全基準の強化に伴ってコストも上がっているにしろ、それでもいきなり廃絶するのは難しいでしょう。
自然エネルギーの推進も、コストとの兼ね合いを考える必要が出てきます。何故日本が化石燃料や原発をやめられないのかといえば、自然エネルギーより安いからです。
反原発の人からすると、多少電気代が上がっても自然エネルギーをと言うかもしれません。しかし家庭だけでなく、産業に与える影響を考えるとどうでしょうか。コストが上がれば、それを価格に転嫁せざるを得なくなります。すると、国際競争力が失われ、日本の産業に大きなダメージを与えかねませんし、そうした状況では労働者の賃金を上げることもできず負の連鎖に突入します。どこまで日本人に負担を強いるつもりなのか。
立民が日本を潰したいなら自然エネルギー立国でも何でも推進したらいいですが、現実問題として厳しいのは目に見えています。しかし言うだけはタダですし、自然エネルギーという響きに何となく釣られる人を狙っているのでしょう。
更に今は環境保護ガチ勢が出てきました。彼らは石炭悪玉論を展開します。朝日新聞などは原発にも批判的ですし、石炭についても「石炭火力発電に固執するあまり、脱石炭をめぐる政策も欧州などに大きく先行されている」などと否定的です。こうした勢力はよく欧州がどうこうと出してきますが、日本とは事情が違うのです。
欧州は国をまたいで送電線が繋がっており、電気を取引することができます。日本はいざというときに他国に頼ることができないので、国内での安定供給を考えると、調節が利く石炭火力も安易に手放せません。送電線を大陸や半島と繋ぐ選択肢も考えられましたが……それはハイリスクでしょう。
世界的な流れもあって自然エネルギーの拡充も必要ですが、結局はバランスの良いエネルギー供給を考えなければいけないでしょう。原発やめろ、石炭火力もやめろは流石に無茶です。