続投が決まった巨人「原監督」、「阿部2軍監督」にどう繋ぐ?【柴田勲のセブンアイズ】
巨人・原辰徳監督の来季続投が事実上決定した。来季が3年契約の3年目だが、13日に山口寿一オーナーが、「特殊な条件のもとでこれだけの成績、本当に立派な手腕だと思います。来年、当然続投ですね」と語ったという。
私ももちろん当然だと思う。昨季は4年間も手放していたペナントを奪回し、今季も2年連続リーグ制覇に向かって独走中だ。優勝マジックは「9」だ。
来季で契約が切れるけど、巨人とすればもっと長くやってもらいたい。これが本音だろうし、来年以降どうなっていくかは原監督の胸先三寸ではないか。
「ポスト原」は阿部慎之助2軍監督で決まりだと思う。確率からいえば95パーセントだろう。今後、どうやって原監督から阿部にスムーズにつないでいくか、一つの焦点になる。
例えば再来年の22年も原監督が指揮を執って、阿部が正式にヘッドコーチに就任して、原監督の下で監督業を学ぶ。こんな方法だって考えられる。阿部はまだ2軍監督1年目だ。最低でも2年くらいは経験しておきたいところだ。
原監督は今年62歳になった。川上(哲治)さんを超える球団最多の通算1067勝を達成した。いつ辞めてもいいが、今回の監督就任時には「強い巨人」の復活を約束している。実際、そうなりつつあるけど、もっと盤石なものにしたいという強い気持ちを持っているはずだ。
巨人と原監督の仲である。阿吽(あうん)の呼吸で将来の青写真を描いていくことになるだろう。
菅野智之投手の開幕からの連勝記録が「13」で止まった。13日の広島戦(東京ドーム)で6回を119球、被安打7で4失点。今季初の黒星がついた。チームが勝ち続けることはできないし、打線だって打ち続けるなんてことができないように、投手の連勝記録だっていつかは止まってしまう。仕方がない。
でも、気になったのは「らしくない投球」だった点だ。6イニング中、4回も先頭打者を出した。先頭打者を打ち取ることでリズムを作ってきた、これまでの菅野にはなかった。2回、失点につながった。
見ているとなんか覇気がないというか、だるそうに投げていた。開幕からチームの大黒柱として登板してきた。負けられないという重圧があったろうし、記録への意識があったかもしれない。また精神的な疲れも蓄積していたのだろう。
それにしても変化球でかわす投球で、制球力が悪くボールも高い。ボールが先行する投手として悪いパターンに陥った。何度も指摘しているが、投手の基本は外角低めへの真っすぐだが少なかった。いつもなら、「打てるものなら打ってみろ」と気合満々でドーンと投げ込むのが菅野の真骨頂だ。
変化球でかわそうかわそうの狙いが見え見えだった。投手の生命線である外角低めへの真っすぐがあって、スライダーなどの変化球も生きてくる。残念な投球だった。
だが、これでまた再出発ができる。今回の投球を見つめなおし、次回登板の糧にしてもらいたい。もっともっと外角低めへの制球力の精度を上げることが大事だと思う。
一歩も二歩もリードしていたと思っていた岡本和真の本塁打王と戸郷翔征の新人王もわからなくなってきた。
阪神の大山悠輔が13日の中日戦で26号を放って単独トップに立った。岡本は25本だ。でも焦る必要はない。いまはとにかくチームの勝利に貢献するバッティングを心がけることだ。前回も指摘したが本塁打は狙って打てるものではない。ヒットの延長線上に本塁打がある。甘い球を見逃さない。これを忘れないことだ。本塁打は必ず出る。
チームの評価として高いのは打点だ。現在トップに立っている。最後の最後まで結果は分からない。自信を持ってバットを振ってほしい。
戸郷は広島・森下暢仁との一騎打ちになっている。11日の中日戦(ナゴヤドーム)で負け投手となり8勝(5敗)、森下は10日に8勝目を挙げて先行していた勝ち星に並ばれてしまった。
レギュラーシーズン終了までの約1カ月が勝負になる。登板数は同じだが、森下が規定投球回数に達しているが、戸郷は達していない。防御率も森下が上回っている。
巨人、広島ともに残り試合は22だ。2人の登板機会は3試合くらいか。戸郷、まずはとにかくチームの勝利に貢献する投球をして欲しい。結果は自ずとついてくる。
期せずして岡本、戸郷の2人には同じエールとなったが、最後まで全力で向かってもらいたい。注目している。(記録は14日現在)