斎藤洋介さんを偲ぶ 「お笑い」と「酒」をこよなく愛した“名バイブレイヤー”の素顔
嫌味な演技は天下一品
スタッフは現場で「口紅が完成したら、女優さんに塗ってもらおう」と思いついたのだ。
「更にアイディアは膨らみ、最終的に『知り合いの女優さんで結構なので、事務所に電話して口紅を塗ってもらう出演交渉もしてください』と斎藤さんに依頼したのです。
すると斎藤さんは『そんな失礼なことはできません』と拒否、ロケ途中で帰ってしまいました」(同)
やはり斎藤さんは演劇人。台本をしっかり読み込むことは基本中の基本。一方、バラエティ番組の撮影現場で、台本が変更されるのは日常茶飯事のことでもある。
もちろん斎藤さんも、そんなことは百も承知だったろう。台本がいい加減な形で書き換わるのが納得できなかったのかもしれない。
いずれにしても、やはり斎藤さんの生真面目さが垣間見えるエピソードだ。
「芝居を間近で拝見すると、本当に素晴らしかったですね。それこそ嫌味な役を演じてもらうと天下一品でした。
舞台裏を暴露すると、斎藤さんはギャラがそれほど高くなかったのです。そのためにスタッフ側も気軽に仕事のご相談をお願いできました」(同)
「バランタイン」を愛飲
いかにも役者らしく、斎藤さんが酒をこよなく愛していたことをご存知だろうか。検索エンジンを使っても、意外に出てこないエピソードだ。
2005年7月、斎藤さんは「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」(朝日放送テレビ制作/テレビ朝日系列・平日・13:30)に出演した。
そして上沼恵美子(65)との掛け合いの中で、「蕎麦打ちに夢中になったこともあるほど料理好き」の素顔を明かした。
以前は家族のために腕を振るったこともあったが、子供が成人したこともあり、この頃は自分でつまみを作ることが多かったという。
そして「後片付けはしません。というか、酔っぱらって、できないんです」と自分でオチを付けた。
このエピソードの完成度が評価されたのだろう、当時の番組を宣伝する朝日新聞の記事でも紹介されている。(※出典は末尾の註1)
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