台風14号の予報円が大きいのはコロナのせい……話題のツイートは本当か 気象庁に聞く

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 NHKが運営するWEBマガジン「NHK政治マガジン」は4月30日、「航空機からの気象観測データ半数以下に 技術開発に遅れも」の記事を配信した。

《新型コロナウイルスの影響で航空便の欠航が相次ぐ中、気象庁が航空機から受け取る気象観測データも半数以下に減少しています。気象庁は現状の予報などに大きな影響はないものの「今の状態が長引けば、今後の予報精度を上げる技術開発に遅れが出るおそれがある」としています》

《気象庁は日本などを飛行している航空機から、上空の気温や風速、それに風向きといった観測データを受け取っています》

《観測データはことし3月上旬ごろまでは、1日およそ8万件で推移していましたが、航空便の欠航が増えた3月中旬から急激に減り、今月22日にはおよそ3万件と半数以下となっています》

《気象庁は気象衛星などの観測データも活用していることから、現状の予報に大きな影響はないとしています》(註:全角数字を半角数字に改めた)

出所はラジオ番組

 NHKの記事によると、新型コロナの影響で飛行機の観測データが減少しているのは事実のようだ。

 しかし、《偏西風》や《台風》、《予報円》といった単語が出てこないのはご覧いただいたとおりだ。

 改めて気象庁の担当者に質問すると、「台風の進路予測で、《飛行機から送られる偏西風の実測データ》が必須というのは、現場の実感とは異なります」とツイートへの“違和感”を指摘した。

 冒頭でご紹介した通り、きっかけとなったツイートは《昨日ラジオで聞いた事》と番組の具体名は書いていなかった。

 だが、その後、真偽を巡る議論が活発化したためか、10月9日の夕方ごろ、同じアカウントに出典を明記したツイートが投稿された。

 具体的には東京のAMラジオ局がオンエアしている番組名やコメンテーターの個人名が明かされたのだ。

“虚偽ツイート”は冤罪

 さっそくradikoを使って番組を視聴してみると、ツイートで紹介された通りの内容がオンエアされていた。

 また別のツイートでは、違うラジオ番組で《上空からの飛行機のデータが少ないからといって予報円の大きさにそれほど影響しない》と説明したことを紹介した。

 気象庁の担当者は「飛行機の気象データが予報に活用されていることを知る人は、それほどいないと思います」と指摘していた。

 一時期は知識の豊富なマニアが、わざと嘘のツイートを行った可能性や、勘違いの投稿が流布してしまった可能性が取り沙汰されていた。だが、それらは全て“冤罪”だったということになる。

週刊新潮WEB取材班

2020年10月10日掲載

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