韓国から日本への「入国制限緩和」 「文大統領」が沈黙を続ける意味は

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「日本から譲歩を勝ち取った」アピールをするはずなのに…

 韓国外交部は7月末から日本政府と入国制限緩和案を協議してきた。

そしてそれがようやく実を結んだのなら、普段なら宣伝に利用するはずだろう。

 これまでの文大統領と民主党であれば、「過去の謝罪と補償なしには入国制限緩和要求を受け入れない」、「NO JAPANキャンペーンのために絶対日本に行かない」と意気揚々と主張しつつも、「日本から譲歩を勝ち取った」立場で、支持率上昇の手段に活用する余地は十分にあった。

 しかしながら、文大統領と民主党は日本の今回の緩和措置にいかなる言及もしていない。

 結果的に文大統領ではなく、韓国政府の政策によって厳しい状況に追い込まれた韓国企業が自ら動いた結果という見方が強い。

 日本政府の対韓輸出規制措置に、韓国は不買運動で対応した2019年、両国関係が冷え込み、日本から原材料を輸入している韓国企業は苦境に立たされた。

 特に日本政府が半導体、ディスプレイの中核素材についても輸出を規制したことに伴い、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長は自ら日本に乗り込み、ソフトバンクの孫正義会長ら日本企業のトップと会い、解決策を模索した。

韓国政府の役割は実質ゼロ、「反日政策」の被害者は韓国企業

 新型コロナウイルスによって原材料の供給と製品輸出に打撃を受け、韓国からの入国制限措置によって状況がより悪化していることから、李在鎔副会長は冨田大使と面談し、日本が韓国人入国制限緩和を早期に行うよう促した。

 7月末から韓国外交部と日本政府の間の交渉は遅々として進んでおらず、康長官が今年6月に茂木敏充外相との電話で日本企業関係者の入国制限緩和を先に提案したが、茂木外相はこれを断ったことが明らかになった。

 当然ともいえるのが、韓国国内での新型コロナウイルス感染者数増加が収束を見せておらず、韓国からの入国制限緩和を決めた国が当時はなかったからだ。

 中国は8月になってから韓国からの入国制限を緩和した一方、台湾とシンガポールはむしろ韓国からの入国検疫を強化した。

 当時の日本政府が入国制限を緩和するとしても、台湾とブルネイを優先し、韓国は後回しにしたことは紛れもない事実だ。

 その後、李在鎔副会長と冨田大使との面談後、韓国大手財閥GSの名誉会長で韓国全国経済人連合会の許昌秀(ホ・チャンス)会長が、9月18日に菅首相に送った祝賀書簡で、ビジネス目的の入国制限緩和を要請すると、日本政府も10月中に韓国を入国制限緩和対象に含めると結論を下したのだった。

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