山口組「ハロウィーン」菓子配りはNGに 元山口組系幹部による「私はこう思う」
社会貢献というのは田岡3代目からの山口組の精神
ハロウィーンの時期に、山口組(神戸市)の総本部敷地内で組員が地元の子供らに菓子を配る行為が問題となっていた。これに関して、兵庫県議会は10月5日、暴力団員が18歳未満の子供に金品を渡す行為などを禁じる改正暴力団排除(暴排)条例案を本会議で可決。近年、問題視されていた一連の行動にくさびが打たれる格好だが……。元山口組系義竜会会長で、カタギとして暴力団員の更生支援に携わる特定非営利活動法人「五仁會」代表・竹垣悟氏に見解を聞いた。
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具体的には、以下の行為が禁じられることになる。
・18歳未満の子供に金品を渡すこと
・18歳未満を組事務所に出入りさせること
・支配下に置く目的で18歳未満に連絡すること
禁止行為を重ねたりすれば、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
「社会貢献というのは田岡3代目からの山口組の精神みたいなもんでね……。近所の人たちを大切にしなければならないというんが『基本のキ』なんです」
と話すのは、竹垣氏本人。
「3代目の時は新潟で地震があって救援物資をトラックに積んで運んだし、渡辺5代目の際は阪神淡路大震災があり、本部が号令をかけてボランティア活動を展開しました」
「渡辺芳則組長も率先して動き、現6代目の司忍組長も若頭補佐としてサポート。私も地元の姫路から漁船をチャーターして須磨まで向かったりしたんです」
「それ以外にも傘下の組は夏に盆踊りを運営して、毎年の風物詩になっていました。まさに近所の人たちに喜んでもらいたいっていう気持ちからですね」
タイガーマスクの伊達直人がやったら称賛される一方で…
「私はもちろん暴力団絶対反対の立場で、兵庫県知事からNPO法人の認定をしてもらっているから言いにくいところもあるんですが(笑)、今回の件でヤクザがもっと締め付けられて行かないか、それは懸念するところではあります」
全国に張り巡らされた暴排条例はボディブローのようにヤクザ組織に効果を発揮している。
「暴排意識が高まったのは、北九州の飲食店でヤクザの立ち入りを禁じる標章を店に貼ったところ、経営者が襲撃されたりしたことも大きい。2012年のことですね」
暴力団全体がシノギに窮する中、
「手っ取り早く儲かる覚醒剤など薬物の取り仕切りや、オレオレ詐欺などの特殊詐欺に手を出す組員も少なくないと聞いています」
「もちろん、ボランティア活動の資金源を辿っていくと、違法行為に基づいたものに行き着く可能性もあるわけで、今回の条例の意味もよく理解しているつもりです」
とはいえ、
「ヤクザは普段生きていて胸張れることなんてまぁそんなにないわけです。ただ、こういった活動はええことやし、プライドを感じられる数少ないことやと思います」
社会に貢献しているという意識を持つことが、更生の第一歩になるケースも多い。
「タイガーマスクの伊達直人がやっているようなことですよね、まあたとえて言うたら。同じことをやっても一方では称賛されるが、もう一方のヤクザがやったらあかんし、下手したら罰金で懲役やいうたら、それこそどうやって子供に説明しまんの? となりませんかね」
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