八方塞がりの「文在寅大統領」 「菅首相」が取った緻密な「対韓」ポジション

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条件をつけずに金正恩(朝鮮労働党)委員長と会う用意がある

 9月25日夜(日本時間26日午前)、動画メッセージを流す形式で行われた国連総会の一般討論演説で菅義偉首相は、拉致問題解決に触れ、「日本の新しい首相として、条件を付けずに金正恩(朝鮮労働党)委員長と会う用意がある」と発言。韓国メディアは「無条件」というコメントをタイトルに掲げ、トップニュースとして報じた。これは安倍晋三前首相の政策を維持すると同時に、「日本飛ばし」を望む韓国政府の期待に反する発言であったためだ。

 韓国政府の切なる平和外交努力にも関わらず、北朝鮮は今年だけで6度にわたり弾道ミサイル発射実験を強行した他、今年6月に南北共同事務所を一方的に爆破した事件に続き、9月24日には韓国の公務員が北朝鮮軍により、海上で銃殺される事件が発生。

これらは文在寅大統領の支持率が急落する要因となり、韓国国民の北朝鮮に対する世論は最悪のレベルに達している。

 このような状況にも関わらず、「北朝鮮との対話の窓口」を自任する文在寅政府としては、日本の新内閣が「韓国飛ばし」をして北朝鮮との関係改善を望む動向が気になるのは当然だといえる。

 しかしながら、菅首相は韓国に対してはまったく違う態度を示した。韓国との会談には、北朝鮮のケースとは異なる条件を付けたのだ。

「実現不可能な条件」… それでも菅首相が強行する理由は

 現在の日韓関係悪化の元凶となっている元徴用工について。共同通信は9月30日、「差し押さえられた日本企業の資産がいつ現金化されてもおかしくない状況の中、首相の訪韓はありえない」という外務省幹部の発言を報じている。

 要するに、徴用工問題の解決なしに、菅首相が訪韓して文大統領と会談するのはありえないということだ。

 政権初期から、朝鮮半島における日本の支配に対する反省と謝罪を求めてきた文在寅大統領。

 昨年の日本製品の不買運動で、自国民を扇動して韓国国内の反日感情をエスカレートさせた彼にとって、慰安婦と徴用工問題は、政権維持のための最後の砦といっても過言ではない。

 そのため、文大統領が「日本企業の資産の現金化撤回」という菅首相が提示した条件を履行する可能性は限りなくゼロに近い。

 日本政府の態度は、文政権を混乱させるほどの衝撃であった。自分たちが無視しようとした日本が先に、北朝鮮との関係改善のために条件をつけずに会談への糸口を探っているのだから。

 自分たちの方が「スルー」のピンチに立たされたのは間違いない。

 菅首相が北朝鮮外交の最大懸案とする「日本人拉致被害者」問題。そして、核弾道ミサイル発射などの課題解決について、「韓国政府の役割はさして重要ではない」と菅首相が判断しているのは誰の目にも明らかだ。

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