「金正恩」が「トランプ大統領」に「慰問書簡」を送ったワケ
正常な対話と協議ができない政治の「ど素人」
今年の年初から新型コロナのパンデミックが勃発し、誰も金正恩に視線を向けなくなると、金正恩は「新型コロナ患者は北朝鮮には一人もいない」と虚勢を張った。
しかし、それを信じる人は世の中にほとんどいなかった。
国際社会から注目されなくなった彼は、妹の金与正(キム・ヨジョン)にトランプ大統領に宛てた書簡を送らせ、「米国の独立記念日行事のテープ」を受け取りたいという喜劇のような言葉で「ATTENTION」を引こうとしたが、これもまた水泡に帰した。
国際社会が、金正恩をこれ以上、正常な対話と協議ができない政治の「ど素人」だと定義して久しいからだ。
次に南北共同連絡事務所を爆破し、韓国の公務員を海で射殺して燃やすという凶行まで犯したのは、国際社会の気を引くために他ならない。
独裁者の金正恩氏は、世間の耳目が集まらず、また人々が万歳を叫ばないと立ち行かない「困ったちゃん」キャラをこれまで以上に晒している。
崩壊のとば口に立った独裁体制をどう維持するか、これ以上の悪あがきもない。
金正恩に対する北朝鮮国民の忠誠心は著しく低下している。
今年に入ってコロナ・パンデミックを名目に国を固く封じ込め、国民から移動の自由を剥奪した。
万に一つでもトランプ大統領が金正恩の書簡に感動し…
国民は極悪非道な独裁者のため米一粒を求めることもできずに無残な死を遂げる。独裁者は宴会遊びに興じ、国民はこれに動員され続けている。
10月が過ぎると、次は労働党第8回大会開催に向けてもう一度、総動員令が下されるだろう。この動員令こそ、金正恩独裁体制の命脈が絶たれるきっかけとなるかもしれない。
金正恩は、トランプ大統領の新型コロナ感染を気の毒に感じ、快癒を強く願っているかのように装う書簡を送ったが、本心だと信じる人はあまりいないのが事実だろう。
万に一つでもトランプ大統領が金正恩の書簡に感動し、再選後に在韓米軍を撤収して北朝鮮の核廃絶(or縮小)を猶予してくれることに最後の期待をかけ、中国の反対を押し切って求愛行動の書簡を送ったのだ。
しかし、1週間後の10月10日の党創建記念日、すなわち独裁存続75周年行事には大量破壊兵器の姿がこれでもか誇示されるだろう。
書簡に載せたメッセージは、その場凌ぎだったことを世界は目撃する。
もはや金正恩体制は、いかなる政治的策略や謀略をもってしても救い出せない総体的崩壊が始まった。
金正恩が臨終の時刻になって初めて、自分が死に向かって一直線だったことに気づくのだろうか。
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