「日本不買」でも日本製しかない サムスン惨敗の「韓国」カメラ市場の背景

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サムスンの撤退は時間の問題だった

 デジタルコンパクトカメラは、一般にスマートフォンより解像密度(dpi)が高く、大きく引き伸ばすと画質差は歴然としているが、PCやスマートフォン、特にSNSではその差を認識できない。

 大きく引き伸ばす機会が多い人は、レンズ交換式の一眼レフやミラーレスを購入し、レンズ交換式カメラはレンズやアクセサリーのラインナップが販売に直結する。

 サムスンの一眼レフはペンタックスのOEM供給を受けたため、レンズやアクセサリーは売れ筋を自社ブランドとし、需要が少ないレンズやアクセサリーはペンタックス製品に誘導できた。

 しかし、他社製品と互換性がないミラーレスは、サムスンがすべてをラインナップする必要がある。

 さらに、各社はセンサーサイズが大きく、収益性が高いフルサイズにシフトしたが、サムスンがノウハウを得る方法はなく、撤退は時間の問題だった。

 韓国のスチル(静止画)カメラのシェアは50%以上をキヤノンが占め、ソニー、ニコンと続いている。

 各社の正規品は米国向けの仕様が主流だが、南大門や忠武路のカメラ店街に軒を連ねる小規模店は、日本で売れ残った処分品など並行輸入品を併売する。

 動画用カメラは、世界市場ではソニーとパナソニックが競っているが、韓国ではソニーの一人勝ちで、かつて市場に参入したサムスンもソニーの牙城を崩すことはできなかった。

 韓国人は自ら意思決定を行わず、権威者に追従して長いものに巻かれる傾向が強い。

 商品購入も同じで、自動車は現代か起亜、家電はサムスンかLGを購入し、スマートフォンはギャラクシーを選択する。

 使っている人が多いという理由でキヤノンやソニーを買うのだ。

佐々木和義(ささき・かずよし)
広告プランナー。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、住宅・不動産広告等のプランナー兼コピーライターを務めた。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い駐在員として2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、広告制作会社PLUXの設立に参画し現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月5日掲載

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