菅義偉と創価学会 かつての敵が学会にとって“歴代最も与しやすい首相”になるまで

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公明党の不興も意に介さず

 この記事には《菅氏が党の頭越しに学会幹部と「握った」ことは、公明党に不快感を広げた》とあるが、ある意味では当然だと言える。

 学会幹部と官房長官が直接、集団的自衛権という極めて重要な政策について協議しているのだ。公明党の面子は丸潰れだろう。

 だが菅首相は、学会とのパイプがある限り公明党は恐るるに足らず、と見透かしていたのかもしれない。

 やはり西日本新聞は14年6月28日の朝刊に「読み解く=集団的自衛権 閣議決定案を自公了承 公明ずるずる後退 容認 割れた創価学会」を掲載した。

 この記事には、余裕綽々とも取れる菅首相の肉声が記載されている。

《政権中枢に座る菅義偉官房長官や自民党筋は早くから、原田稔会長、佐藤浩副会長ら学会幹部とそれぞれ密会を重ね、感触を探ってきた。「俺は全然心配していない」。菅氏は周囲に度々こう語った》

沖縄県知事選では苦杯

 2018年2月、沖縄県の名護市で市長選が行われた。普天間基地移設の是非が争点となった。

 移設容認派の渡具知武豊市長が勝利するのだが、「FACTA」は「『名護の勝者』は菅長官と創価学会副会長」(2018年3月号)との記事を掲載した。

《政府筋は「菅義偉官房長官と創価学会の政治担当、佐藤浩副会長の連携がものを言った」と解説する》

《告示後は佐藤氏が選挙事務所に陣取り、自民党議員らに「〇△地区で運動量が足りない。もう一度やり直せ」とハッパをかける場面もあったという》

 創価学会の副会長が直接、自民党の議員に指示を出すのだ。“菅官房長官”の後ろ盾がなければできない“越権行為”だろう。

 7か月後の9月、沖縄県知事選では玉城デニー知事が勝利し、菅=佐藤ラインは苦杯をなめた。が、2人の信頼関係は揺らがなかったようだ。

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