「わいせつ教員」処分歴の検索期間が40年に 3年経てば再取得できる問題も

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 児童を狙うエロ教師は増える一方。2018年度、わいせつ行為等で懲戒免職となった公立小中高などの教員は163人と過去最悪に。だが自らの経歴を偽って教壇に戻る不届きな輩が後を絶たず、再犯者も出て対策が急務とされてきた。

 文科省教育人材政策課によると、

「処分事実を隠した受験者の採用を未然に防ぐため、過去の処分歴を閲覧できるようにしてほしいとの要望が現場から寄せられていました。そこで『官報情報検索ツール』を18年度から都道府県の教育委員会や学校法人に提供しております」

 官報には教員免許が失効となった者の名前が掲載されるが、これまで検索範囲は過去3年分のみに限られ、期間の延長が望まれていた。そこで文科省は今年11月から検索範囲を過去5年に、さらに来年2月には過去40年に、順次拡大することを決めたのだった。

「大臣や政務官の指導により決定しました。いわば政策判断です」(同)

 なぜ40年なのか。刑法上の有期刑の上限が30年。そしていかなる刑も、刑期を終えて10年経てば前科と見なされなくなる。だから40年を最大範囲としたわけだ。

 だが問題は残る。官報情報には「懲戒免職」や「分限免職」といった失効事由は記されるものの、具体的な処分内容は登録されない。だから教師がなぜ処分されたのかは、各自治体の教委か以前の職場に問い合わせるしかないのだ。

「直近の統計では懲戒免職になった教員の約7割がわいせつ関係によるものです。処分歴閲覧期間の拡大は、採用時の経歴詐称に気付く端緒が増えればいいという考え方です」(同)

 現行法では免許が失効しても3年経てば再取得できるが、そもそもエロ教員には二度と免許を与えるべきではなかろう。この点、教育問題に詳しい精神科医の和田秀樹氏に見解を訊くと、

「実際には学校にいられなくなった元教師が学習塾に流れてきて同じような行為を働いていたりします。小児性愛の傾向がある者には医学的な治療・措置を施し、累犯を防ぐことのほうが現実的かと思われます」

 せめて別の仕事を探してほしいものだが…。

週刊新潮 2020年10月1日号掲載

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