オリラジ中田「YouTube大学」の罪 「芥川賞・直木賞の問題点」はヒドすぎる

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問題のある引用

 この本で、書店にとっての芥川賞と直木賞の問題点は、次のように指摘される。

《芥川賞は受賞作が発表される時点ではまだ書籍になっていないことが多い》

《直木賞でも受賞決定時点で出版社に在庫がない場合も少なくない》

 筆致はあくまで冷静だ。この2つの不満から、本屋大賞は生まれたという。

《受賞決定と販売が直結するような賞をつくろう……ということでできたのが本屋大賞である》

「当然ですが、永江さんの著作には『「文藝春秋」は文芸誌』とか、『芥川・直木賞は雑誌が主宰している』とか、『賞を取っても本は売れずに雑誌が売れる』といった事実誤認は全く書いてありません。

『火花』についての言及も全くありません。あくまでも中田さんが具体例として勝手に言及しただけなのです」(前出の記者)

もしテレビなら?

 前出の編集者は懸念を口にする。

「事実誤認の指摘を並べ立てているのは永江さんではなく中田さんです。ところが、YouTube大学の視聴者は、『あの本には、そんなことが書かれているのか』と誤解してしまう危険性があります。

 永江さんの『私は本屋が好きでした』は丁寧な取材を行い、その記述は論理的です。ところが中田さんは、前後の文脈を無視し、1つの問題点を抽出すると、それを何百万倍にも膨らませてセンセーショナルに訴えるわけです」

 故意かどうかは分からないが、著者の意図を曲解し、原文を不正確に引用していると批判されても仕方のないレベルだ。

「中田さんの動画を見て、もしこれがテレビで放送され、書店や取次、出版社が抗議を行ったとしたら、すぐに謝罪するしかないと思いました。

 中田さんの動画はこれまでも様々な事実誤認が指摘されてきましたが、それでも存続しています。

 これは視聴者が『YouTubeだから仕方ない』と誤認に抗議せず、間接的ではあっても中田さんが動画を配信することを許しているからではないでしょうか」(同・編集者)

週刊新潮WEB取材班

2020年10月3日掲載

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