殺人や自殺はなぜいけないのか 養老先生の回答
なぜ自殺はいけないのか。結局は自分の体ではないか。
正面から問われると、意外と答えるのが難しい問いかもしれない。『バカの壁』で知られる解剖学者の養老孟司さんは、著書『死の壁』のなかで、この問いに答えている。同書にある養老さんの考えをまとめてみよう(以下、引用はすべて同書より)。
一冊丸ごと「死」を語った同書の冒頭でまず養老さんは「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いについて論を進めている。この問いは、神戸の14歳の少年が連続殺人で逮捕された頃によく取り上げられたものである。...