「文大統領」どうする? 民心が離れ、支持率の危険水域が近づいて

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今年春の卒業生の就職率は、現時点で40%前後

 否定的評価のこれら二つの理由は、ともに若者の就職難に直結する。

 現在20代の若者は、文政権成立の過程で90%に近い厚い支持基盤となってきたが、最近は支持率が40%前後を行き来しており、最終の調査では34%と発表された。

 その彼らは、低迷する経済と不公平社会のなかで職にありつけない犠牲者だと自覚して、政権不信に陥っている。

 特に今年は、コロナ禍によって就職はさらに狭き門だ。

 今年8月の20代の就職率は56・4%にしか過ぎない。

 20代でも後半になればもう少し就職率は向上するが、大卒直後だとさらに下回る。

 ソウル市内のとある大学の教員の話を聞くと、今年春の卒業生の就職率は、現時点で40%前後だという。また経済低迷により、低賃金でそこそこのスキルを期待できる60代以上の人たちを雇用する企業も増えていて、それが若者の職を奪い、社会問題になっている。

 文大統領は9月19日、青年の日の記念式典で行った演説で、「公正」という言葉を37回用いて、就職難に喘ぐ若者にアピールした。人気グループの防弾少年団も招へいしてのイベントだったにもかかわらず、大統領の支持率に反映されなかった。

 若者は文大統領に冷めた視線を向けているのだ。

日本は最も大きく門戸を開いている国の一つ

 文政権の対日姿勢は、韓国の歴史認識を日本に認めさせ、そのうえで日韓関係を再構築することである。

 しかしだからといって、現実的にみて、日本に強硬に出ることもできない。

 そんなことをすれば、自滅につながるからだ。

 就職難の若者は海外での就職を求める傾向が強いが、日本は最も大きく門戸を開いている国の一つである。

 昨年の場合はアメリカを凌いで最も多くの韓国の若者が日本の企業に就職した。

 また、9月23日から29日まで雇用労働部の主催で、海外企業とのオンラインによる面接イベントが行われたが、そこに参加した72社中、54社が日本企業である。

 つまり、日韓関係の悪化は経済交流の希薄化につながりかねないが、地盤沈下の雰囲気が漂い始めた文政権としては、それだけは避けたいというのが本音だろう。

 韓国の民心が文政権からどれだけ離れてゆくかについては、未知数のところもある。

 30代と40代は文政権の支持者が多く、まだその世代では50%台という比較的堅調な支持率を維持しているからだ。

 この世代は民主化運動の記憶がまだ生々しい時代に育ち、金大中政権以降のリベラルな教育を受けてきた。

 彼らの文政権への評価が、今後どのように変わっていくのか。

 さまざまな葛藤を抱える隣国として、それを注視していくべきだろう。

藤原修平
韓国在住フリーライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月1日掲載

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