藤井聡太二冠の封じ手は最高1500万円で落札 鑑定士に“高いか安いか”訊いてみた
適切な入札額か?
これで一段落がついたわけだが、だからこそ、疑問が浮かんでいる向きも多いのではないだろうか。
何せ、3枚合計で2250万2000円だ。新築の一戸建て、高級スポーツカーも即金で買えてしまう。
果たして、落札価格は適正なのか、それとも高いのか、はたまた安いのか──?
和洋古典籍や歴史資料を扱う「安土堂書店」の八木正自代表取締役は、「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系列・火・20:54)の鑑定士として出演している。
八木氏は稀覯本(註:珍しくて価値の高い本)や書簡、そしてサインの専門家として、番組で鑑定を行ってきた。
ちなみに番組で鑑定したサインに限っても、以下のような“歴史的人物”が並ぶ。
チャールズ・チャップリン(1889~1977)、アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)、エイブラハム・リンカーン(1809~1865)──。
価格上昇の可能性
八木氏に今回の落札価格について訊ねると、「適性と言えば適性、高額と言えば高額、なかなか難しいですね」と言う。
「まず前提条件として、『藤井二冠の名前が書かれた封じ手用紙なら、とにかく欲しい。お金はいくらでも出す』という人がいる可能性があるわけです。こういう場合、極論すれば1億円で落札したとしても、その人にとっては適正価格でしょう」
一般論ではあるが、プロの集まるオークションでは、落札価格が抑制的になる傾向があるという。
具体的にはイギリスの著名なオークションハウス、クリスティーズや、古書街で有名な神保町にある東京古書会館で開かれるオークションだ。
「美術商や古本屋といったプロは、顧客に販売するために落札します。利益を確保するため、落札価格は“買値”に近づきます。一方のネットオークションは顧客が入札するので、利益分が必要ありません。“売値”に近づくため、落札価格は上昇します」(同・八木氏)
ただし、1500万円で落札された第4局の封じ手であっても、今後、価格が上昇する可能性は充分にあるという。
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