藤井聡太二冠の封じ手は最高1500万円で落札 鑑定士に“高いか安いか”訊いてみた

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奥深い封じ手の世界

 プロ棋士ともなると、「どちらが封じ手」を書くかを巡り、激烈な心理戦が戦われることもあるという。

《以前には5分前にいきなり指して、相手に難しい局面で封じさせようとしたところ、相手も怒ったのか、すぐに指し返したということもあった》

 青野九段によると、封じ手は次のような手順で作成されるという。

《封じ手は対局者が図面に矢印と指し手の符号を書いて封をし、両者がサインをした後、立会人に渡して1日目が終わる》

《1通を立会人、もう1通を対局場(旅館等)が保管して翌日開封する》

 これをもう1通作ろう、と木村九段が提案したというのは、先にご紹介した通りだ。

 ネットオークション「ヤフオク!」に出品されたのは、藤井二冠が封じた第2局と4局、そして木村九段が封じた第3局の「封じ手用紙」だった。

 9月20日の午後9時に締め切られると、藤井二冠の第2局が550万1000円、4局が1500万円、木村九段の3局が200万1000円という結果になった。

1億円を超えた時間帯も

 オークション中は3通で1億円を超えた時もあった。だが高額入札者は住所や氏名など個人情報をメールで通知する必要があり、連絡がなかったため削除されたという。

 落札直前、日本将棋連盟は各メディアに「落札者と連絡が取れなければ、落札価格は変わる」と注意喚起していた。

 だが、それは杞憂に終わったようだ。将棋連盟は25日、全ての落札者からの入金が確認されたと発表した。

 日刊スポーツは22日、550万1000円の落札者へのインタビュー記事を掲載した。(「藤井2冠封じ手550万1000円『安かった』 落札の投資家テスタ氏『家宝に』」)。

 記事によると、投資家のテスタ氏(本名・年齢非公開)は将棋ファン。豪雨被害地に寄付という主旨に賛同して入札したそうだ。

 落札した封じ手は「家宝にする」とし、転売は行わないと答えているという。

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