「プレステ」予約販売“瞬殺” 韓国の日本製品「選択的不買」の哀しさ
任天堂韓国法人の売上高、営業利益、純利益はいずれもアップ
日本のゲームメーカー製品が、韓国人の「選択的不買運動」として愛されるケースは珍しくない。
今年7月、任天堂韓国法人が発表した2019年4月から2020年3月31日までの実績によると、売上高は2305億ウォン(約200億円強)、営業利益126億ウォン(11億円強)、純利益97億(約9億円弱)ウォンだった。
前期に比べ、売上高は36・6%、営業利益68・3%、純利益16・5%増加している。
日本製品不買運動の打撃は全く受けていなかったのだ。
ニンテンドースイッチ「あつまれどうぶつの森エディション」が発売されて以来、韓国ではこの製品を購入するために予想以上の争奪戦が起こった。
新型コロナに感染するリスクを省みず、売り場には朝早くから長蛇の列ができた。
その努力の甲斐なく、36万ウォン(約3万2000円)という高価なゲームマシンは在庫切れとなり、手ぶらで家に帰る事例がニュースで何度も紹介された。
新型コロナ流行により、中国にある生産拠点での操業が停止したため、部品供給が円滑にいかず、生産量が急激に減ったのだ。
そこで韓国の中古品取引コミュニティには、「あつまれどうぶつの森エディション」を50万ウォン(約4万5000円)以上の価格で販売するという書き込みも登場した。
また6月には、韓国のモバイルショッピングモールで、「あつまれどうぶつの森エディション」を17%引きで購入できる電話イベントを開始すると、問い合わせの電話が1時間に約56万件も殺到した。
応募できたのは1万2261人で、割引特典を獲得できたのはわずか10人だった。
こうした人気の中、今年4~6月のニンテンドースイッチの販売量は9万964台を記録、前年同期比106・4%にもなった。
それでも自らは熱心に不買運動を続けている錯覚に陥っている
任天堂が日本製品であることを韓国人は知っているにもかかわらず、「選択的不買運動」をしっかりと実践しているのだ。
販売者と購買者の自由を抑圧してまで始めた日本製品不買に耐え切れず、選択的不買という皮肉な状況を作り出し、それでも自らは熱心に不買運動を続けている錯覚に陥っている。ややこしい状況だ。
河野太郎行政改革担当大臣は2019年8月21日、外務大臣当時の日韓外相会談の直前、韓国人取材陣に向かって「これは(このカメラは)キヤノン、それはニコンだ」と言及したことがある。
当時、韓国政府やメディアから強い不満をぶつけられたものだ。
しかしながら、ひょっとすると河野氏は日本製品不買運動が始まった時点ですでに、韓国人たちが「選択的不買運動」に手慣れていることを知り、これを指摘したかったのかもしれない。
だとすれば、今度はまた別の質問をしてみる番だ。
『独立運動はできなくても、PS5とニンテンドースイッチは諦められないのか』
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