ソニー「PS4」ネット価格が「PS5」と同じ5万円台 後継機が発表も“高止まり”のワケ
9月17日、ソニーは次世代ゲーム機「PlayStation5」(以下PS5)を11月12日に発売すると発表した。併せて明かされた希望小売価格は、ディスクドライブ搭載モデルが5万4978円(税込み、以下同)非搭載モデル(デジタル・エディション)が4万3978円。その一方、前世代機であるPS4のネット販売価格は、平均5万4855円(9月22日現在)と、PS5の価格とほぼ同じなのだ。なぜこんな珍現象が起きているのか。
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新型ハードにしてはリーズナブルなそのお値段に、Twitterでは〈PS5安すぎ〉が一時期トレンド入りした。とはいえ、PS4のネット価格がPS5と同じだというのは、なんともおかしな状態だ。ソニー・インタラクティブエンタテインメント代表取締役社長のジム・ライアン氏は、PS5でもPS4のゲームのうち“99%”は遊べると明かしている(ワシントンポスト、ファミ通.comインタビューより)。つまりPS5には後方互換があるため、PS4をわざわざ購入する必要はないはずだ。
PS4の現行モデルの希望小売価格は3万2978円である。対して、通販サイトの価格をまとめて比較できるサイト「在庫速報.com」のデータによると、今年4月28日の時点で、平均販売価格は5万2714円まで上昇していた。コロナ禍での外出自粛による巣ごもり需要のためだ。その後、一時的に3万9000円台にまで値を下げたものの、プレミア価格が続いている。19日のPS5発表から4日が経った22日現在、値下がりの傾向を見せているものの、いまだ高値は維持されている。
同じくコロナ特需が報じられた任天堂の「Nintendo Switch」(以下Switch)の場合はどうか。希望価格3万2978円のところ、4月28日時点でのネット平均価格は5万5990円。が、PS4とは異なりその後緩やかに下落し、9月21日現在で4万3264円まで落ち着いている。
2つの要因
ゲーム業界に詳しいライターがいう。
「『旧世代機でしかプレイできないゲーム』は稀にあり、そういう需要はありますが、基本的にそれはマニアの考え。一般的にユーザーは、新世代機が発表されればそちらに関心が移りますから、中古市場に出回ることも手伝って、旧世代機の価格は下がります。だから新世代機の値段と発売日が明らかになっても旧世代機が高値で取引されつづけている今回の例は、特異なケースなのでは」
原因は、(1)新世代機の発売が決まっていたところへ、(2)コロナ禍で市場価格が高騰していたためだと考えられる。
「今回のPS4特需は、ソニーにとって悩ましい問題だったと思います。PS5を年内に発売すること自体は決定していましたから、下手にPS4を増産して売れ残ってしまうと、需要がない“旧世代機の在庫”を抱えてしまうことになります。だからコロナ禍で欲しい人が多いと分かっていても、PS4を生産しなかった。在庫のリスクを考えて、実際は作れなかったといってもいいかもしれません。一方、任天堂のSwitchは品薄解消のため増産しています。次世代機が出るわけではありませんから、増産して仮に売れ残っても、年末商戦で捌くことができます。市場価格が高いのに供給が絞られていた、これがPS4の市場価格がいまも“高止まり”し続けている要因でしょう」(同)
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