「松坂慶子」をしのぐ美貌で「朝鮮総連大幹部」に愛された美人詐欺師とロールスロイス

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カリブ海に沈んだ金塊をロシアの船が吊り上げようとしているから…

「彼女が活躍したバブル時代、不動産や金融関係の人間には表に出せないカネが結構あった。彼女はそれを狙い、“運用を任せて”と訪ねて回ったのです。怪しいカネの使い道が出来るのだから、そりゃ協力したくなったでしょう。ただ岩合としては、焦げ付いてもカネの性質上、彼らは泣き寝入りするだろうと踏んでいたのです」

 バブルが繚乱の花を咲かせ、カネがダブつき、行き場所を失った結果、岩合の周辺に蝟集(いしゅう)していたのである。もっとも、バブル崩壊と共に勢いを失った彼女は、その後どうしていたのか。

「白金の『都ホテル』で……」

 と、彼女の知人が苦笑交じりにこぼす。

「11年前に会ったんですが、かつての彼女とはずいぶん違っていて、色気らしきものはすっかりなくなっていました。話は金持ちを紹介してくれという類のものばかり」

 それは大要以下の通りである。

カリブ海に沈んだ金塊をロシアの船が吊り上げようとしているから、誰か出資してくれ。知り合いの病院長がカネに困って大きなダイヤを売りたがっているので買ってくれ――。

「ダイヤについては写真と保証書しか見せず、実物を持ってこないんだ」(同)

 なるほど、汗のにおいではなく胡散臭さだけを漂わせていたわけだ。直美は9年前まで、関東圏の大都市で借家住まいをしていたが、近所の住人によると、

「季節に関係なく黒い服装で、“なんだか魔女みたい”って家族で話し合った記憶がある。トボトボ歩いているのをよく見かけましたよ。え、松坂慶子? とんでもない。一緒に暮らしていたお父さんの実家へ帰る、そう挨拶に見えたのが最後です」

 ロールスロイスから徒歩へ。銭の花は散り果て、蕾がつくこともないようなのだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年9月21日掲載

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