香川照之は元祖「東大王」 東大卒業後、長く不遇な時代が続いた2つの理由

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クイズは苦手?

「ピン子さんは、ギター漫談から大女優にまでのし上がった人ですからね。厳しさを知り尽くした彼女ならではのセリフでしょう。もし今、テレビの前で対面することがあったら、彼女は香川さんに対し、彼よりもすごい土下座をやってみせるかもしれません」(同)

 現在の香川が得意とする濃厚な演技は、当時のドラマには必要とされていなかった。

「東大を卒業した88年といえば、昭和が終わろうとしている頃で、日本はバブルへまっしぐらという時代。テレビでは、この前年から“月9”(フジテレビ)がスタートし、88年には『教師びんびん物語』(主演・田原俊彦[59])、89年『愛しあってるかい!』(主演・陣内孝則[62])、90年『世界で一番君が好き!』(主演・浅野温子[59]、三上博史[年齢非公表])、そして91年には『東京ラブストーリー』(主演・鈴木保奈美[54]、織田裕二[52])と、男優はイケメンのトレンディ俳優しか用のない時代でした。失礼ながら、香川さんの容姿では制作会議に名前が挙がることすらなかったでしょう」(同)

 そこで、香川が活路を見いだしたのがクイズ番組だった。

「もちろん『東大王』(TBS)など、まだありません。彼が出演したのは『クイズなっとく歴史館』(フジ)という番組で、クイズダービーの歴史版のような番組の準レギュラーでした。司会は原田大二郎(76)、回答者に丹波哲郎(1922~2006)、中村勘九郎(後の十八代目勘三郎、1955~2012)というメンツですから、バラエティと言っていいでしょう。当時のクイズ番組は、知識を競うものは『パネルクイズ アタック25』(朝日放送)や『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ)、『クイズタイムショック』(テレビ朝日)など素人が出場するものばかり。一方、芸能人が出演するのは『クイズダービー』(TBS)、『クイズ100人に聞きました』(TBS)、『クイズ・ドレミファドン!』(フジ)など、知識を競うのものではなく、バラエティだったんです。結局、『なっとく歴史館』も1年半で幕を降ろしました。ま、東大卒だからと言って、みんながみんな、クイズが得意というわけでありません。その後も、彼はクイズ番組にはほとんど出ていませんね」(同)

 もしや、クイズは不得意なのか。それでも彼は、芸歴1年目に大河ドラマ出演のチャンスをものにしている。

「『春日局』(主演・大原麗子[1946~2009])でしたね。NHKも2世タレントとして話題にしたかったのでしょう。しかし、特に注目されることもなく、これ以降、テレビでの出演は単発ばかりになっていきます」(同)

 続いてVシネマに進出。

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