オスカー新エース「小芝風花」主演「妖怪シェアハウス」最終“怪”見どころ

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彼の家に行くと、歯ブラシが2本あり、女物のパンツがある

 主演クラスがこぞって脱退する大手芸能事務所「オスカープロモーション」にあって、新エースとされるのが小芝風花(23)。超絶な性悪男に惚れた弱みで……という主演ドラマの最終回について、ライターの吉田潮氏が綴る。

 惚れた男に金を貸した女を少なくとも3名知っている。30万とか60万とか100万とか。

「もう彼への思いも金もドブに捨てた」と割り切ってはいるけれど、本当にそう思っているかどうかはわからない。銭ゲバの私なら法的手段を考えるし、歯ぎしりするほど悔しいのだが、彼女たちは諦観、悟りの境地である。

 なんでこんな話をするかというと、社内恋愛の彼氏が嘘つきのクズで、仕事も貯金(86万3211円!)も奪われ、捨てられた女が主人公のドラマがあったから。今日最終回を迎える「妖怪シェアハウス」(テレ朝)である。

 その女の名は目黒澪。演じるのは、オスカーの稼ぎ頭として馬車馬のように働かされている小芝風花だ。初回、澪の彼氏(柾木玲弥)の話を聞いてみると、まあひどい。

 彼の家に行くと、歯ブラシが2本ある。彼いわく「掃除用だよ」。

 彼の家に女物のパンツがある。彼いわく「それ、俺のだよ」。

 彼の家に女がいた。「はっきり言うけどお前2番目なんだよ! ウゼーよ!」と罵られ、宅配便の人扱いで追い返される。

デートの食事代も払わない、高級時計がほしいと金を無心、職場では発注ミスまでなすりつけてきた彼のせいで、小芝は会社を辞めることになったのだ。

 とにかく小芝が演じるのは、自分に自信がなく、自己評価がとんでもなく低い女性。犯罪級の酷い目に遭っているのに、自分が悪いと思い込んでしまう。NOと言えず、意見も言えず、のみこんでしまう。気弱で優しくていい子…とは思わない。

正直「え、バカなの?」と思う。「なんでそんな男と付き合った? 白目剥くわ」とも思う。小芝を助けたのは、和装のドSイケメンでも、心優しい家事万能なおじさんでもなくて、神社の境内に住む妖怪たちという物語だ。

大倉孝二のキャラ設定に安心する

 まず、行き倒れた小芝を助けたのは、傷ついた人を放っておけない看護師。男に裏切られた恨みは決して忘れず、復讐至上主義の四谷伊和。

 右目の眼帯はTPOに合わせるおしゃれさん。つまり四谷怪談のお岩さんだ。

 演じるのは、激甘・妖艶・狂気を器用に使い分ける松本まりか。ドラマ本編では甘系キュートな亡霊だが、特別編「暑―い夏の妖・怪談スペシャル」(8月15日放送)では涼感必至の怪談をお披露目。

 声優として活躍しているだけあって、迫力と凄みが尋常ではなかった(ちょっと怖すぎて途中で早送りしちゃった)。

 松本同様、小芝を癒してくれるのは、シェアハウスで料理担当の和良部詩子。古い家や蔵にすみつく子供の精霊・座敷童子なのだが、演じるのは池谷のぶえ。

 子供というか、草間彌生寄りだが、その柔らかな声には癒される。毎回、妖怪の背景を昔話風に語り、わらべ歌で歌い、解説と雑学の両方を担当。

 池谷の美しい歌声と切なさと懐かしさを含んだメロディが頭にこびりつく。

 さらには、特に悪さをするわけでもなく、人の家に上がり込んではいつの間にかいなくなるぬらりひょんがいる(やっと妖怪枠ね)。

 弁護士であり経営コンサルでもある沼田飛世は「のらりくらり」が処世術。人心掌握はお手の物で、いつの間にか契約も和解も成立させてしまう凄腕だ。

 異様に大きな頭の特殊カツラをかぶって演じるのは大倉孝二。人間の業を認めながらも、男女平等のフラットな感覚をもち、小芝を見下したり見捨てたりしない。たとえコメディでも、こういう男性キャラクターがドラマ内にひとりいると安心するんだよなぁ。

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