「反日不買」にビクともせず…医療、印刷など韓国の離れられない「日本依存」
日本が統治時代に持ち込んだJIS規格を採用している
印刷業は日本依存が圧倒的に高い。
私ごとで恐縮だが、仕事柄、日本で15年近く、韓国でも長年、印刷と深く関わってきた。
国際的な紙の規格はISOのA列、B列、C列で、日本はJIS規格のA列とB列を使用している。
日本と並ぶ印刷先進国の米国とドイツも独自規格を持っている。韓国は日本が統治時代に持ち込んだJIS規格を採用している。
世界最古の印刷は中国というのが定説だが、現存する印刷物で年代が確定している最古のものは奈良の法隆寺等に保管されている仏教経典で、近代印刷はドイツのグーテンベルグが発明したといわれている。
グーテンベルグの近代印刷は幕末の日本に伝わり、統治時代、日本が韓国に持ち込んだ。
商業印刷機は、日本、ドイツ、米国が世界市場を独占している。
韓国の製紙と印刷は日本の技術を踏襲しており、三菱重工業(現・リョービMHIグラフィックテクノロジー)が圧倒的なシェアを持ち、小森コーポレーションが続いている。
ドイツのハイデルベルクは韓国に拠点を置いているが、韓国の印刷工場は国内に拠点がない三菱や小森を選択する。
印刷機械を購入する工場主は、三菱製中古機械の情報を求め、購入が決まると広島に出向いて三菱の工場で研修を受ける。
韓国の印刷用語も日本語が定着している
また韓国の印刷用語も日本語が定着している。
JIS-A列の印刷物は菊判、B列は四六判の印刷用紙を使用するが、韓国も日本と同じサイズが基本で、菊判、四六判と呼んでいる。
菊判は明治中頃、米国から輸入した洋紙のサイズで、商標のダリアが菊に似ていたことから名付けられたといわれている。
四六判も元は英国から輸入した用紙のサイズで、4寸×6寸の書籍に適していたことから四六判と名付けられた。
いまでは日本固有の規格だが、韓国の印刷業や製紙メーカーは日本規格が基本である。
菊判や四六判、無線綴、中綴を韓国では、ククバン、サユクバン、ムソン、チュンチョルなどと読む。漢字の韓国語読みである。
トンボ、ハリコミ、ドンテン、シオリは日本の印刷用語だが、韓国ではそれをそのまま専門用語として使っている。
本の背はセネカという。背中を聞き間違えたようだが、聞き間違えた語が定着している。モチコミやクルマもある。クルマは印刷物等を運ぶ台車で、韓国印刷業界固有の用語である。
日本でオンデマンドと呼ばれている商業用デジタル印刷は、当初は米HPが多くを占め、インディゴと呼ばれているが、近年、富士ゼロックスがシェアを伸ばしている。
デジタル印刷機はオフセットに比べて耐用年数が短く、習得期間も短いため、入れ替えるタイミングでHPから富士ゼロックスに替える例も少なくない。
インディゴは米HP社の商品名だが、富士ゼロックスのインディゴと呼ぶ例すらある。
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