「沢村拓一」の次は…巨人“トレード要員”に挙がる「小林誠司」ら4人の名前

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 9月7日、巨人とロッテは沢村拓一と香月一也の1対1の交換トレードを発表した。今季の推定年俸は沢村が1億5400万円なのに対して、香月は650万円であり、“格差トレード”という声も聞かれたが、7月に大麻取締法違反(所持)で広島県警に逮捕されたジャクソン(最終的に不起訴処分)が退団したリリーフ陣を補強したいロッテと、若手野手が欲しい巨人の思惑が一致したものであり、どちらにとってもプラスの面が大きそうだ。現に沢村は移籍と同時に選手登録されると、8日の日本ハム戦ではリリーフで1回を三者三振という満点デビューを飾り、チームの勝利に大きく貢献している。

 そして目立つのが巨人の活発な動きだ。これでシーズンに入ってから3件目のトレードであり、楽天との2件は若手を放出して、実績のある選手を獲得するものだったが、今回は逆のパターンであり、あらゆる方法でチーム強化を図ろうとしていることがよく分かる。トレード期限は9月末までであるが、シーズンオフにも動く可能性は十分にあるだろう。そこで今回は次に他球団への“トレード要員”となりそうな巨人の選手について考えてみたい。

 現在の巨人の戦力を考えた時に、最も余裕があるのがキャッチャーである。現在の一軍は打力が持ち味の大城卓三と経験豊富な炭谷銀仁朗がスタメンで併用されており、若手の有望株である3年目の岸田行倫も控えている。そうなってくるとトレード要員の候補になるのが小林誠司だ。

 プロ入り3年目の2016年には正捕手となり、翌年には138試合に出場したものの、大城の台頭、炭谷の加入もあってそれ以降は徐々に出場機会が減少。今年は、開幕直後、6月21日の阪神戦で死球を受けて骨折し、ようやく実戦復帰を果たしたところであるが、一軍に復帰したとしてもレギュラーの座を確約された立場ではない。

 また、プレー以外のところではあるが、昨年1月と今年8月に自らの運転で自動車事故を起こしており、そういう点も球団にとってはマイナスと見る動きがあってもおかしくないだろう。しかし、過去4年連続でセ・リーグの盗塁阻止率1位を記録しているように、スローイングに関しては球界でもトップクラスであることは間違いない。捕手に苦しんでいる楽天、オリックスや正捕手の田村龍弘が故障で離脱したロッテなどにとっては非常に魅力的な存在と言えるだろう。

 その他の野手では山本泰寛も候補になる。2015年のドラフト5位での入団ながら徐々に出場機会を増やし、昨年は92試合に出場するなどセカンドの準レギュラー的な立ち位置となっていたが、今年は吉川尚輝、北村拓己、増田大輝などの台頭もあって二軍暮らしが続いている。

 内野陣はロッテから香月が加わり、さらに厳しい立場に追い込まれたと言っても良いだろう。ただ、内野であればどこでも守れる器用さと意外性のあるバッティングには定評があり、今年で27歳という年齢を考えるとここからが働き盛りである。二遊間のバックアップが手薄な西武、ロッテあたりなら出場機会も増える可能性が高そうだ。

 実績のある投手では、野上亮磨、田原誠次の二人も二軍暮らしが続いている。野上は2018年にFAで西武から加入して、今年が3年契約の最終年となるが、二軍でも結果を残せない日々が続いている。ただ、元々試合を作る能力は高く、先発もリリーフもこなす器用さもある使い勝手の良い投手ではあるだけに、環境を変えれば、復活する可能性は十分にあるだろう。

 一方、田原は2016年に64試合に登板して4勝14ホールドとブレイクしたが、それ以降は徐々に成績が悪化。しかし連投をこなすタフさと、貴重なサイドスローということでまだまだ市場価値はあると考えられる。

 日本の場合、トレードで移籍すると“放出”と表現されてネガティブなイメージがいまだに残っているが、出番のない実績ある選手に活躍の場を与えて、若手の飛躍のきっかけに繋がるという意味では、本来ポジティブな要素も多いものである。そういう意味ではここで名前の挙げたような選手も、沢村のように他の球団でブレイクすることも十分考えられるだろう。今季のトレード期間はあとわずかであるが、今後もポジティブな意味での活発なトレードが行われることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月16日掲載

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