アマゾンを脅かすEC「ショッピファイ」って? 大手メーカーも次々に乗り換え

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 急成長企業といっても、アマゾンの年間売上高(約30兆円)の200分の1である。しかも顧客は大半が中小企業か個人。それでも「アマゾンキラー」と呼ばれているのが「ショッピファイ(Shopify)」だ。どこが、アマゾンにとって脅威なのだろうか。

「同社は2004年生まれのカナダの会社です。最初はスノーボードのオンラインストアを手掛けていましたが、やがて、EC(電子商取引)向けのプラットフォームに転換。すると、その使いやすさが評判になって15年に株式上場を果たします。昨年度の売り上げは約1670億円ですが、今年に入っても倍々ゲームで成長しており、時価総額は10兆円を突破しています」(証券会社の関係者)

 ちなみにEC大手の「楽天」の時価総額は1兆3千億円だから、株価ならこちらが大企業だ。

 ITジャーナリストの三上洋氏が解説する。

「一口にネット通販といっても、ショップを作るのは簡単ではありません。商品を並べ、買い物カート、決済システムも構築しなければならない。そのため、業者の多くはアマゾンや楽天などの巨大通販サイトに出店するのですが、手数料がバカにならない。ところが、ショッピファイは安い手数料で商品展示から決済、発送までできる通販ショップが作れる。子供でもネットでモノを売るのが当たり前のアメリカで、これが大当たりしたのです」

 ショッピファイで通販ショップを作る場合、月額約3千円から。最近では、アマゾンに高い手数料を払うのがバカらしいのか、ネスレやロレアルといった大手メーカーもこちらに乗り換えつつある。「アマゾンキラー」と呼ばれるゆえんだ。日本では今年4月に楽天と提携している。

「アマゾン・ジャパンに売り上げで差を付けられている楽天としても、巻き返しのチャンスでしょう」(同)

 EC戦国時代の下剋上となるか。

週刊新潮 2020年9月10日号掲載

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