灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(118・最終回)

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 藤原義江の息づかいをいまだ感じさせてくれる場所に、都内では帝国ホテルや小川軒、そして山口県下関には「藤原義江記念館」がある。義江の父親、英国人ネール・ブロディ・リードが「ホーム・リンガー商会」の支店長だった関係で、幼少の頃に暮らしたゆかりの地である。

「多くの人に見てもらいたい」

 と義江を看取った三上孝子がたくさんの遺品を寄贈したものが中心に公開されている。

 記念館の一角に、義江のコレクション「銀の匙」の一部が飾られている。

 何気なく飾られているスプーンであるが、これはただの収集ではなく、1本1本に義江の抱いた女が投影されているそうだ。...

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