今夜は特別編、「私の家政夫ナギサさん」への共感ポイントとは?

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「ふたりで一生懸命働いて、苦手な家事はプロに任せればいい」

 同じマンションに住み、外資系製薬会社ってことで、年収は800万円超えとにらんだ。いくら家事万能で優しくても、じっとしているとカラスに威嚇されちゃうおじさんの大森とくっつくなんて……と思うじゃないか!
 
 田所さんはメイに告白したものの、逆にメイから「ナギサさんにプロポーズした」話を聞かされる。あのときは田所以上に心が痛んだ。それでもちゃんとアピールポイントを伝える田所さん。

「ふたりで一生懸命働いて、苦手な家事はプロに任せればいい」と。

 そこな! 苦手を自覚しているからこその言葉かもしれないが、全国の共働き家庭の男性の耳かっぽじって聞かせたいパワーワードだ。家事という言葉の部分に、「育児」「介護」と入れてもいい。

 家事も子育ても親の介護も女性に頼りっぱなしのまかせっきりの男性をひとりでも多く撲滅するために、田所さんは存在したわけだ。存在意義、デカイな! 見事にフラれたけれども。

 そこで気づく。

 世の女性たちがこのドラマに夢中になった本当の理由は、

「料理洗濯掃除…マジ、めんどくせ―ッ!!」

 という心の雄叫びである。

 コロナのせいで家にいる時間が長くなり、独身だろうと家族持ちだろうと、とにかく家事のわずらわしさに辟易。

 そこに家事万能で穏やかなナギサさんとくれば、みんなうっとりするわな。 

 20歳以上の年の差婚をしたメイとナギサさんのラブラブ新婚生活に、正直そんなに興味は……ない。体の相性は大丈夫かな、とゲスい老婆心で見守るのみ。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月8日掲載

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