「周防正行」監督が明かす創作論 「いい監督ほど妥協する」
【対談】映画監督・周防正行×作家・二宮敦人(2/3)
「社交ダンス」という共通項を持つ、「Shall we ダンス?」の周防正行監督と、『紳士と淑女のコロシアム「競技ダンス」へようこそ』の著者で、学生時代踊りに青春をささげた二宮敦人氏。対談で飛び出した、ヒットメーカー・周防監督流の「映画を撮るコツ」とは。
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「面白さ」を翻訳する
二宮 今日はぜひ監督に伺いたいことがあったんです。創作の作法に関係することなんですけど、よろしいでしょうか。
周防 もちろん、どうぞ。
二宮 監督が映画を作るとき、大事にしていることは何ですか。
周防 何を撮るかでいえば、まず自分が面白がれるかどうかですね。お坊さん、社交ダンス、大学相撲……モチーフは何であれ、それを自分が面白がっている実感を大事にして、どうしてこんなに惹かれるのかを追求するんです。
たとえば、「シコふんじゃった。」のときは、こんなことがありました。国技館で大学対抗の学生相撲大会があって、3部リーグ制のCリーグ、つまり一番弱いリーグが無類に面白いと思って、スタッフを連れて見に行ったんです。桟敷席ですから大笑いするわけにもいかず、こみ上げる笑いを必死に噛み殺しながら取り組みを見ていた。そんな僕のすぐ横で、スタッフは寝ちゃっているんですよ、退屈して。その瞬間、自分が面白いと思ったことをそのまま提出したって、自分以外の人が面白がってくれるとは限らないと悟りました。
だから、翻訳する必要があるんです。自分はこれをこういう視点で見ていて、こう感じるから面白いんだ。だから、ここからこう見てみてよ、って。
二宮 なるほど。
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