11失点の藤浪晋太郎 欠陥フォームを修正できるかは“運次第”という指摘

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弱いメンタル

 7月30日のヤクルト戦では10三振を奪いながら、7回4失点(自責点1)。8月5日の巨人戦も8回4失点。15日の広島戦でも6回6失点と4連敗を記録してしまう。

 8月21日には対ヤクルト戦で7回途中4失点。692日ぶりの勝利となった。いよいよ藤浪復活か、と野球ファンの期待は高まった。

 29日の広島戦は勝ち負けこそ付かなかったが、4回2/3を5四死球4失点と低調な内容だった。再びファンの不安が募る中、9月5日の巨人戦で11失点と屈辱の敗北を喫してしまったわけだ。

 一体、藤浪はどうしてしまったのか、阪神OBの広澤克実氏に取材を依頼した。

「アマチュア時代から、プロに入って最初の3年間まで、藤浪くんは挫折というものを全く知りませんでした。彼を初めて叱ったのが当時の金本監督だったとの報道もありました。私が昭和の野球人だからかもしれませんが、藤浪くんが逆境に弱い、プロ野球選手としてはメンタルが弱いことに、不振の一因があるのではないかと考えています」

 ちなみに広澤氏はヤクルトに入団後、土橋正幸(1935~2013)、関根潤三(1927~2020)、そして野村克也(1935〜2020)の3氏のもとでプレーした。

失敗した新人育成

 土橋氏と野村氏の怖さは有名だが、温厚なイメージの関根氏も、広澤氏によると「優しいところもありますが、要所要所では怖かった」という。

「藤浪くんは今年、遅刻を理由に2軍に降格されました。これは昨日今日の問題ではないそうです。関係者から聞いた話では、もともと彼は時間管理や挨拶ができないという問題があって、首脳陣が2軍降格を決断したのも、これまでの経緯があるから、とのことでした。時間厳守と挨拶といえば、社会人の基本でしょう。藤浪くんが新人の頃から、どういう教育を阪神が行っていたか、よく分かるエピソードだと思います」

 とはいえ、藤浪自身がフォームの改造など、何とかして復活しようと努力を重ねてきたことも事実だ。

「新人の頃より、今年のほうが直球のスピードは速いでしょう。リリースポイントの位置を調整し、死球を減らすことにも成功しました。しかし皮肉なことに、荒れ球が少なくなると、バッターは落ち着いて藤浪くんと対戦できるようになったのです。また藤浪くんは全盛期、アウトコース低めでバッターを打ち取っていました。その勝負球が、今年はストライクとボールがはっきりしています。死球の恐怖が減少し、ボール球を見分けることが容易となり、バッターが精神的な面で優位に立てるようになっています」(広澤氏)

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