文在寅も喜ぶコロナ禍で売上増「韓国ラーメン」…元は日本の会社という皮肉
技術を無償で、製造機械を原価で提供したのは日本の食品会社
韓国の大手食品メーカー「農心」の米国法人は、今年上半期の売上が、前年同期比35%増の1億6400万ドルとなり、過去最高を記録した。新型コロナウイルスの影響で「ホームクック」トレンドが強まり、農心のインスタントラーメン「辛ラーメン」にチーズを入れて食べるなど、さまざまな形で楽しむ人が増えているからだ。食品メーカートップとも親しい文在寅大統領の嬉しそうな表情が目に浮かぶが、元々、韓国の即席麺業界に技術を無償で、製造機械を原価で提供したのは、他ならぬ日本の食品会社だった。
米国市場における辛ラーメンの売上は今年の上半期、前年同期比25%増の約4800万ドルに達した。
韓国語でラーメンを意味する「ラミョン」は、通常、インスタントラーメンを指す。スーパーやコンビニなどでは100種類を超えるインスタントラーメンが販売されている。
最も人気が高いのは農心の「辛ラーメン」で、三養食品の「三養ラーメン」、オットギの「ジンラーメン」が続いている。
飲食店でラミョンを注文すると、辛ラーメンに具材を加えた料理が供される。辛い料理は「辛ラーメンと同等の辛さ」、「辛ラーメンより辛い」などと、辛さの基準に使われるほど生活に根付いており、大韓航空やアシアナ航空も辛ラーメンを採用している。
韓国の即席麺は1963年、日本の技術で誕生した。
第1号は三養ラーメン。後発の辛ラーメンに人気の面では劣るが、三養ラーメンは日本の技術に恩恵を受けたと公表している数少ない製品だ。
事実、三養ラーメンのホームページには、日本の明星食品から機械と技術を取り入れ、韓国で初めてラーメンを発売したと明記されている。
韓国のラミョンは辛いほど人気がある
朝鮮戦争後の食糧難が続いていた60年代初期、三養食品を創業した全仲潤氏は、ソウル・南大門市場で1杯5ウォンのお粥を買う行列を見て、庶民たちの飢えを解決しなければならないと考えた。
コメの代わりに手軽に食べられる食品を求め、日本を訪問した時に食べたラーメンを思い出して、食糧問題を解決する唯一の道だと考えた。
全仲潤氏は政府の商工部と交渉して5万ドルを借り受け、日本のメーカーを訪ね歩いた。
国民の窮乏を救いたいという氏の思いに共鳴した「明星食品」の当時の奥井清澄社長が、技術を無償で供与し、製造機械を原価で提供した。
日本は日韓基本条約に基づいて韓国に有償と無償合わせて11億ドルを支援したが、明星食品の支援は条約締結の2年前で、三養食品はもちろん韓国政府も金がなかった。
1963年9月15日、三養ラーメンは、1袋10ウォンで販売を開始した。役員は赤字になると反対したが、全氏は国民の窮状を救うためだと低価格を押し通した。
当初は日本と同じレシピだったが、その後、辛さを増すなど韓国人の嗜好に合わせて手を加え、現在に至っている。
韓国のラミョンは辛いほど人気がある。袋麺は辛ラーメンや三養ラーメンが定番だが、大手コンビニのGS25で最も売れているカップ麺は、三養食品の「ブルダック炒め麺」で、GSのプライベートブランド「オモリキムチチゲラーメン」が2位につけている。
「ブルダック焼きそば」は36%、「オモリキムチチゲラーメン」は29%を20代の女性が購入しており、ほかに三養の「カルボナーラブルダック炒め麺」、八道の「トゥムセラーメン」、「ホンラーメン辛チーズ麺」など20代女性の購入比率が高い製品が上位を占めている。
ダイエットに執着する女性はスープが多いほどカロリーが多いと考え、スープがない麺を選択する。また辛い食べ物を食べてストレスを発散するなど、辛い麺を求める傾向が強い。
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